廃棄が常態化するスーパー業界の事情
また、廃棄を生むスーパーの“裏事情”もあります。
スーパーには「欠品は悪」という業界の鉄則があります。商品が品薄だとお客さんの期待を裏切る、お客さんも豊富な商品の中から選びたい。
その結果、当てが外れると大量の売れ残りが発生します。夕方に値引きしても、全部は売り切れません。こうして商品の廃棄が常態化していくのです。
私の現役時代にもこの問題は深刻でした。そのため、各店舗に「生ゴミ処理機」を設置して堆肥化し、野菜を作って販売するという“循環型システム”を導入してリサイクルに努めました。
筆者のスーパー店頭に設置していた「生ゴミ処理機」(写真:小林久)
最終的には、お客さんの「家庭生ゴミ」まで集めて肥料にして、作った野菜を店で販売したほどです。私は、「レジ袋有料化」より「食品ロス削減」のほうが優先されるべき環境への取り組みだと思っています。
一方で、こんな極端な例もあります。ある人気の「農産物直売所」では、常に新鮮なものだけを並べたいとの理由で、傷みかけの野菜を一切値引きせず、すべて“寄付”に回して生産者と揉めたことがあるとか。
その後、加工業者と連携してジュースや漬物に二次利用する仕組みを整えて、ようやく落ち着いたそうです。“新鮮さ”を優先する姿勢は立派ですが、生産者からすれば「まだ食べられるのに売らずに人に譲る」ことに納得いかなかったのも当然です。
食品ロス削減に真剣なスーパーの見分け方3つ
では次に、「食品ロス削減」に真剣に取り組んでいるお店を見分けるいくつかのポイントをご紹介します。
①夕方の「値引きタイム」が“毎日”あるか?
一番わかりやすいのはこれです。夕方以降に惣菜や刺し身に「値引きシール」を貼り始める店は、廃棄を減らす努力をしている証拠。逆に、値引きがほとんど見られないのに、閉店間際にほとんどの商品が棚から消えているのなら、値引きせずにすべて「廃棄処分」している可能性が高いです。野菜は開店時に「おつとめ品」として、前日の残品を値引き販売することが多いです。
②「規格外野菜」のコーナーがあるか?
形が悪いけれど味は同じ、そんな規格外野菜を安く売っている店は、ロス削減に積極的です。スーパーに限らず、見かけたら積極的に買うと、家計と農家さん、そして環境にも優しく「三方よし」です。
③フードバンクや寄付の取り組みを掲示しているか?
入口やチラシ、ウェブサイトで「食品ロス削減宣言」や「フードバンクに協力中」と掲げている店は信頼できます。大手チェーンでも、環境報告書で廃棄量を公開している企業の店舗を選ぶのも一つの方法です。

