「家族が入院」という事態に直面して
さて、母はと言えば、事態の大きさをまったく理解しておらず、入院中もきわめて呑気でした。もともと大らかでほのぼのとしたムーミンママタイプ。どちらかというとロッテンマイヤーさん(アルプスの少女ハイジ)気質の私とはだいぶ違うんですよね……。3日後ぐらいに起き上がれるようになった途端、ロールピアノを買ってきてくれと頼まれ、慌ててアマゾンで注文しました。半世紀以上にわたるピアノのキャリアが指の機能回復に役立ったようです。
当時は面会制限があり、会えるのは昼間の15分程度。片道1時間かかる道のりを、父と交互に通う日々が始まりました。
母の回復は目覚ましかったですが、リスクが消えたわけではありません。病室では決して不安な顔を見せてはいけない。恐怖と戦いながら、私が猛スピードでやつれていく日々でした。と言っても仕事はしていましたし、YouTubeライブなども頑張って行っていたんですよ。
この頃を思い出そうとすると、どうも曖昧で、とにかく汗だくだったこと、母の分を作らない食事の支度が非常につらかったことだけを覚えています。
なんて言ったらいいのか、目の奥で何も見ていない日々でした。
電話が怖い、夜が怖い、一人が怖い。母に依存しきっていたことが、不安を増長させていたのでしょうね。(今だから言えること……)
親が倒れた時にやるべきこととは?
実は母が倒れる少し前に、メイプル超合金・安藤なつさんが書かれた介護の本のブックレビューをしていました。何度も読み込みながら「いつか必要になるかもよ」と姉に笑いながら勧めたものですが、いやはやこんなに早く必要になるとは思いもよらず。非常に役立ってくれました、なつさんありがとう。

