
パートナーに裏切られた側を「サレ妻」、裏切った側を「シタ妻」と呼ぶネット用語が定着している。今、話題を呼んでいる漫画『お宅の夫をもらえませんか?』が描くのは、相手がママ友の夫という、最も身近で逃げ場のないドロ沼不倫だ。作画を担当したみこまるさんは、これまでに「田端、明日は売るつもり」などで人間ドラマを丁寧に描いてきたが、本作では「人間の闇」という新たな領域に踏み込んでいる。
■檻の中から飛び出した妻。義母のいびりとワンオペ育児が生んだ「心の隙」



主人公のなな子は、高校時代から付き合っていた彼と結婚し、社会を知らないまま家庭に入った。実家の農家を手伝う日々だが、義母からは「トロい」ときつくあたられ、いびられる毎日。頼みの綱である夫は味方にならず、孤独なワンオペ育児に追われていた。
「こんなはずじゃなかった」という閉塞感のなか、なな子はわずかな自分自身の時間を得るためにパートへ出ることを決意する。働き先は新しくオープンするスーパー。店長の忍は、なな子の子供と同じ幼稚園に通う子供を持つ「ママ友のパパ」だった。檻のような家庭から飛び出した彼女にとって、パート先での時間は、それまでになくおもしろいものに感じられてしまったのだ。
■ママ友から「裏切り者」へ。狭い地域で広まる噂とサレ妻の豹変
さまざまな要因が重なり、なな子と忍は禁断の不倫関係に陥る。しかし、互いの家庭環境が見え、子供同士も顔見知りという狭いコミュニティでの情事は、すぐに綻びを見せる。噂はあっという間に広まり、忍の妻である香織の耳にも届いてしまった。
不倫相手がママ友であると知ったとき、香織はそれまでの穏やかな「良妻の顔」をかなぐり捨てる。不倫によって、二人の女性の家庭と人生は一変していく。本作は、夫婦関係のモヤモヤを描くいくたはなさんが原作を務めており、みこまるさんは「描き込みすぎない簡潔な絵」を意識することで、キャラクターの心理描写を際立たせたという。
■「お宅の夫を――」粘着質なタイトルがラストに回収されるとき
本作のタイトル『お宅の夫をもらえませんか?』には、どこか執念深く、粘着質な響きがある。みこまるさんによれば、この意味深な言葉はラストに向けて衝撃的な形で回収されていくという。
どのキャラクターの視点に立っても「グッとくる」と読者から評される本作。誰にでも起こりうる日常のほつれから始まる裏切りが、どのような結末を迎えるのか。不倫という過ちが、当事者だけでなく周囲の人間関係まですべてを壊していく様を、みこまるさんは圧倒的なリアリティで描き切っている。気になる物語の全貌は、ぜひ本編でおもしろい展開を見届けてほしい。
取材協力:みこまる(@micomalu)
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