早苗の巧みな情報操作により、絵美は早苗こそが「自分の真の味方」だと、信じるようになりました。早苗は「ブロックした友人たちは、妬んでいる」と、寄り添うような言葉をかけ、絵美を孤立させようとします。
自分の理解者だと信じた…
「ブロックしてきた3人って、今も独身でしょ?きっと妬みよ」
早苗はそう言って、優しく絵美の手をにぎりました。
「絵美が結婚してたことも…離婚したのに、また幸せになりたいって思えていることにも、イライラしてるんだよ。心せまいね」
早苗の言葉は、絵美をなぐさめるようでいて、絵美の心に「孤立しているのは、あなたが優れているからだ」という錯覚を植え付けました。
(早苗だけが、私のこと理解してくれる….。ウソをついていたのは、きっと、こずえの方だ
)
早苗こそが、「自分の理解者」だと信じた絵美は、早苗からの頻繁(ひんぱん)なランチの誘いを断りませんでした。
自分の話をしない友人に違和感…
離婚で傷つき、友人関係で悩んでいるからこそ、「早苗は自分に寄り添ってくれているのだ」と絵美は信じたのです。
2人で一緒にいるとき、早苗はとても良い友人に感じられました。早苗に会うと、悩みや不安も消えていき、心がおだやかな気持ちになりました。
ですが、絵美には、早苗についていくつか引っかかることがありました。
一つ目は、早苗が自分の仕事や恋愛について、一切、話そうとしないことでした。
絵美のことは根掘り葉掘り知りたがり、何時間でも話を聞いてくれるのに…。早苗自身の話になると、いつも言葉をにごしました。
「私のことはいいのよ。それより、絵美が元気になってくれてうれしい」
絵美にとっては、まるで天使であるかのように優しく聞こえました。でも、それが返って、どこか早苗が自分と対等な関係にないような、妙な胸のざわつきを感じさせました。

