「傷つけた方はすぐ忘れても、傷つけられた方は一生忘れない」そんなコメントも届く、漫画家の吉本ユータヌキ(@horahareta13)さんの『心の傷』を紹介するとともに話を聞いた。※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承のうえ、お読みください。
■同窓会でいじめを謝罪してきた同級生。20年経ったから言えること


同窓会で久しぶりに再会した、加藤。彼にはいい思い出がない。高校2年生のとき、体育の授業でサッカーボールを当ててしまって、いじめられるようになった。上履きに画鋲を入れられたり、ノートに「死ねバカ、学校くるな」と書かれた。通りすがりに、中指を立てられたことも。ボールを当てたのはわざとじゃない。あのとき、謝ったけど加藤は「一生許さねぇ」と言った。そんな加藤と20年ぶりに同窓会で再会。彼はヘラヘラ笑って、「あんときはごめん」と謝罪。「若気の至りってことで!なっ!」と、ビールで乾杯して水に流そうとした。「加藤にとっては笑い話になったけど、ボクにとっては治らない傷」いじめをきっかけに主人公は人間不信に陥り、人を信じることができなくなったのに、反省していない加藤の態度は主人公をイライラさせた。


その後、トイレに逃げ込むと謎の生き物が出現。「会社クビになるでも離婚させるでも、もしくは帰りに事故を起こすこともできるぞ」と、仕返しを提案してきた。「どうする?」と、主人公に選択肢を差し出すと、彼は時間を戻すことを選んだ。主人公が仕返しを選ばなかった展開にコメント欄には「いや殴れよ」「許すわけねーだろ!って言いながらビールぶっかけてやる」などスッキリ展開を希望する声や「若気の至り、なんてのは許す側が使う言葉であって、ヘラヘラ笑いながら主犯格が使うものではない」「悪いと思ってるんじゃなくて、自分がスッキリして区切りつけたいだけ」など、加藤に対する声が多く届いた。


コメントを読んだ吉本ユータヌキさんは、「多くの方が『相手は自分がスッキリするために謝っている』というコメントが多く、本当にその通りだなと思いました。昨今SNSなど誹謗中傷が溢れる世の中で、何気ない一言で相手を一生苦しめてしまうかもしれないということを想像できない人が多いのかもしれないと思っています。なので、決して『謝れば許されるわけではない』ということが伝わればいいなと思いました」と言葉を強くした。
漫画では、同窓会でいじめた子と再会するが、「いじめられたことや相手に対する気持ちは実話ですが、実際は同窓会に行ってはいません」と、吉本さん。「お誘いをいただいたのですが気持ち的に行けず。もし行ったら…と考えて描いたものです。やっぱり今でも許せない、許したくない気持ちも、何か一言言いたい気持ちもあり、けど実際は言えないので『言えたらいいな』という気持ちを作品にして、少しでも消化できればと思い、作りました」と、制作の経緯を話す。
いじめた相手に言いたかったことを言えたわけではない。しかし、「たくさんの共感や応援のコメントをいただき、気持ち的には少しスッキリしたところがあります。ずっとイヤなものとして引きずりながら生きてきましたが、たくさんの方と気持ちと共有できたといういい思い出に少しは変えられたと感じています」。吉本さんは漫画にしたことの変化をこう話す。
取材協力:吉本ユータヌキ(@horahareta13)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

