●出演者だけでなく、スタッフにも「50歳リスク」
フジテレビ問題以降、テレビ業界が「面白さよりも安全を優先」する方向に傾くのは、ある意味で自然な流れだろう。
特筆すべきは、出演者だけではなく、50歳以上のスタッフの起用にまで慎重さが及び始めている点である。
かつては「私生活がデタラメだけど面白い」テレビ制作者が重宝されてきた。しかし、現在では「面白いけど私生活がデタラメ」な人物が中心となって作られた人気番組は、出演者に問題がなくても、リスク回避の観点から終了させたほうが無難とされる。
フジテレビでは、清水賢治社長の新体制のもと「コンプラリスクがありそうな人物は役員であっても排除する」という方針が打ち出され、実際に女性取締役が経費使用をめぐって辞任した。
漏れ伝わってくる話では、フジテレビだけでなく、「芸人を起用したお笑い系のバラエティ」は、今後さらに数を減らしていくのではないかとみられている。
●もう逆戻りすべきではない
テレビ業界が本質的な転換点を迎え、コンプライアンス対応を含めて「企業」として社会の標準に追いつこうとする動き自体は、歓迎すべきものだ。

たしかに遅すぎた感はある。しかし、その第一歩が踏み出された2025年は、業界にとって意義のある一年だったと言える。
それを引き継ぐ2026年は、安全策を優先するあまり、番組の面白さが犠牲になる場面も増えるかもしれない。
それでも、安易に逆戻りすることなく、改革を進めていくことこそが、正しい方向だと私は思う。
(テレビプロデューサー・鎮目博道)

