年が明けて1年の安全を願って初詣に出かける人も多いはずです。人がたくさん集まる場所では、財布などの落とし物を拾うこともあるかもしれません。
もし道端で財布を拾ったら、どうすればよいでしょうか。「神様からのお年玉だ」などと安易に考えて持ち去ってしまえば、当然ながら犯罪となります。どう対応したらよいか簡単に解説します。
●「占有」の有無で変わる犯罪の種類
落ちている財布や現金を拾って自分のものにした場合、割とよく知られているのは「遺失物等横領罪(占有離脱物横領罪)」ではないでしょうか。(刑法254条、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料(1000円以上1万円未満))
この罪は、落とし主の手から離れ、誰の支配下にもない状態の物を自分のものにした場合に成立します。
しかし、状況によってはより重い「窃盗罪」(刑法235条、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が成立する可能性があるため注意が必要です。
遺失物等横領罪と窃盗罪の大きな違いは、その物が誰かの「占有」の下にあるかどうかという点です。
落とし主がその場を離れていても、ごく短時間であり、かつ距離も近い場合や、ベンチや手水舎(ちょうずや)のような場所に置き忘れた直後であれば、落とし主の「占有」はまだ失われていないと判断されることがあります。
この状態で財布を持ち去る行為は、他人の占有を侵害したとみなされ、窃盗罪に問われる可能性があります。
初詣のような混雑した状況では、落とした直後の人がすぐ近くにいるケースも多いため、安易な判断は禁物です。
●拾った財布は警察か持ち主に届ける義務がある
落とし物を拾った人には、法律上の義務があります。遺失物法第4条1項では、拾得者は速やかに持ち主に返すか、警察署長に提出しなければならないと定められています。
つまり、財布を拾ったら、できるだけ早く対応することが求められているのです。
もし警察に届け出た場合、拾得者には一定の権利も認められています。遺失物法第28条によれば、拾得者は持ち主に対し報労金を請求する権利があります。
報労金の額は、拾った物の価値の5パーセントから20パーセントの範囲内とされています。
また、警察署長による公告後3か月以内に遺失物の所有者が判明しないとき、拾得者がその遺失物の所有権を取得します(民法240条)。

