潜水病とは、海中から陸に浮上する際に起こる病気のことであり、減圧症ともいわれる病です。
仕事で潜水を伴う方や、アウトドアでスキューバダイビングをする方は、押さえておいた方が良い知識です。
そこで、この記事では潜水病について、予防方法・後遺症などを詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「潜水病」の後遺症・症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
潜水病の予防とリスク

潜水病の予防方法を教えてください。
予防方法は、次のような方法があります。
ゆっくりと浮上する
潜水の深さにより、ディープストップを行う
ダイビング後に飛行機には乗らない
高血圧の方はダイビング前に診断を受ける
ダイブコンピューターを活用する
予防するにあたり、ゆっくりと浮上する方法は効果的です。深く潜水するほど、水圧は高くなります。
浮上をゆっくりにすることで、水圧の急激な変化を防ぐことができ、効果的に発症リスクを下げることが可能です。目安としては、1分間に18m以上の上昇は避けるべきといわれています。
しかし、遅すぎても気泡は増えてしまう可能性が高いです。そのため、気泡を減らせる1分間に10m程度を目安に上昇すると良いでしょう。
ディープストップとは、潜水した深さの半分の深さの時点で、一旦停止するというものです。これにより、窒素の気泡が発生しないように、身体を慣らすことができます。
ただし、潜水の深さによってディープストップをすべき深さやタイミングは異なるため、インストラクターの指示や事前に情報を把握しておく必要があるでしょう。
この病気は、ダイビング後の飛行機での移動をする際に、発症する場合があります。そのため、ダイビング後の飛行機移動を避けることも、予防方法に挙げられます。
ダイビングにより身体に溶け込んだ窒素は、18時間以上立たなければ抜けません。また、窒素が抜ける時間は、潜水の深さによっても異なります。潜水の深さによっては、24時間以上体内に残る場合もあります。そのため、ダイビング当日に飛行機移動は避けましょう。
高血圧の方は、発症のリスクが高いです。ダイビングをするのであれば、最低血圧90以上・最高血圧140以下の適正範囲内であるかを確認し、心配な方は診断を受けましょう。
ダイブコンピューターの活用も有効な予防方法です。これを使えば、水深・潜水時間・浮上速度・停止時間などを測定してくれます。
わかりやすく把握できるため、安全潜水・浮上を行え、予防につながるのです。
後遺症はありますか?
この病気は、症状により後遺症が残る場合があります。
特にⅡ型減圧症の場合、脳や脊髄に深刻な損傷が生じることがあり、これにより後遺症を残すケースがあるのです。
脳の損傷の場合は、軽度のけいれんや麻痺から、重度のものまであります。また、脊髄の損傷であれば、神経系を傷つけ車いす生活を余儀なくされることもあります。
このように、損傷個所によっては重度の後遺症が残るかもしれないため、注意が必要です。
死に至るリスクはありますか?
この病気は、後遺症が残る場合があることをご紹介しましたが、最悪の場合は死に至ることもあります。
血液中に気泡が生じることで、この気泡が肺に到達することがあります。肺の症状は、胸痛や咳などの軽度の症状から窒息までさまざまです。
そして、稀ではありますが、これらの症状が重度になると死に至ることがあります。
最後に、読者へメッセージがあればお願いします。
この病気は、身体の中の窒素により気泡が生じ、さまざまな症状が生じる恐ろしい病気です。稀ではありますが、最悪死に至る可能性もあるため、必ず予防するようにしましょう。
予防方法を実行できれば、軽度な症状でもリスクを減らせます。
ダイビングをこれからしたいと考えている方や、潜水作業を伴う方は、正しい知識を備えて潜水できるようにしましょう。
編集部まとめ

潜水病は、誰しも発症するリスクのある、身近で恐ろしい病気です。最悪の場合、死に至ることもあります。
しかし、正しい知識を備えて予防できれば、発症リスクは大きく下げることが可能です。
後遺症などを残さないためにも、予防方法や治療方法などをしっかりと押さえましょう。また、万が一異変を感じた場合は、専門の医療機関に相談しましょう。
参考文献
減圧症|Medical Note
減圧症|MSD マニュアル 家庭版
潜水による障害,再圧治療

