
道路沿いの風景を360度のパノラマ写真で見渡せるGoogleストリートビュー。見知らぬ土地の予習に使うだけでなく、かつて住んでいた場所や実家周辺を検索し、懐かしい気持ちに浸る人も多いだろう。時には、そこに「写ってはいけないもの」や「もう会えない人」の姿を見つけてしまうこともある。
伊東さん(@ito_44_3)が描いた漫画『Googleストリートビュー』は、そんなデジタル空間の記録を題材にした作品だ。亡くなったはずの父親を見つけた感動の物語かと思いきや、ラストで予想外の展開を迎える本作について、作者の伊東さんに話を聞いた。


■画像は更新されたばかり。では「彼」は誰なのか?
物語は、主人公がストリートビューの中に3年前に他界した父の姿を発見するところから始まる。元気だった頃の父に、画面越しとはいえ再会できた喜び。「いつまでもそこにいてくれたら、会いたくなった時に見に行ける」。そう願う主人公だが、ストリートビューの画像は通常2年から3年程度で更新されてしまう現実がある。3年前に亡くなっているのなら、次の更新で父の姿は消えてしまうかもしれない。しかし、ここで不可解な事実が判明する。実はこのエリアのストリートビューは、最近更新されたばかりだったのだ。データは新しいはずなのに、なぜか3年前に死んだはずの父が写り込んでいる。つまり、父は過去の記録として残っているのではなく、霊となって今もその場所に佇んでいるということになる…。
■「美談」から着想を得たシュールな怪談
この作品が生まれたきっかけについて、伊東さんは「亡くなった家族やペットの生前の姿が写っているのがよくSNSなどで美談になるので、そこから着想を得ました」と語る。確かに「亡き祖父が写っていた」といったエピソードは涙を誘うものとして話題になりがちだ。しかし本作では、その感動を逆手に取り、「更新され続けても、そこに居続けてほしい」という主人公の歪んだ願望と、実際に居座ってしまった父のシュールな恐怖を描いている。読者からは「一体、どんな死因だったの?」と、成仏せずに道路に立ち続ける父を心配するコメントも寄せられた。これに対して伊東さんは「死因は特に考えていませんが、普通に病気とかでしょうか…?」と回答。現世に留まる理由は、誰にもわからない。
■毎日投稿のルーティンが生むヒット作
伊東さんはX(旧Twitter)で毎日漫画を投稿し続けており、万バズを記録する作品も多い。それでも「何がヒットするかはいまだにわからない」という。「ルーティンにすることで計画的に作業ができるので、今後もこのスタイルを大切にしていきたい」と語る伊東さん。読者からの反応がモチベーションに直結するため、いいねやリツイートなどの反応が大きな励みになっているそうだ。バズった作品に描き下ろしを加えた5コマ漫画は、Kindleで無料公開されている。感動と恐怖、そして笑いが紙一重で同居する伊東ワールドを、ぜひ覗いてみてほしい。
取材協力:伊東(@ito_44_3)
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