便の状態は私たちが日常生活を送るうえで直接的に健康状態を知らせてくれる貴重な目安です。
便は体中の消化器官を巡っているため、便の状態から今の健康状態を把握することができます。
通常より便が柔らかくなる「軟便(なんべん)」の場合、いったい身体にどのようなことが起きているのでしょうか。
症状が長引く場合は、何らかの病気が隠れていることもあります。
この記事では、軟便や下痢の予防方法を解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「軟便」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
軟便の予後と予防

軟便は完治するのでしょうか?
軟便の原因が食あたりなどで、症状が軽度な場合は数日~1週間程度で治まることがほとんどです。過敏性腸症候群・潰瘍性大腸炎・クローン病などの病気が原因の場合は、原疾患の治療が必要です。
市販薬で様子を見ても良いのでしょうか?
発症からの期間や症状にもよりますが、症状が軽度の場合は下痢止めなどの市販薬で様子を見るのも良いでしょう。ただし、市販薬を服用しても症状が改善されない場合や軟便以外に腹痛や吐き気などの症状が出た場合、便の色が通常と異なる場合は何らかの病気が原因の可能性があります。医療機関の受診を検討してください。
軟便の原因が感染性胃腸炎だった場合は市販薬を飲むことで病原菌が排出されず、症状が悪化する可能性があります。軟便の症状とともに発熱・吐き気・血便がみられる場合や同じ料理を食べた人も発症している場合は市販薬は服用せず、すぐに受診しましょう。
軟便を予防する方法を教えてください。
軟便の予防には規則正しい生活を心がけ、食べすぎや飲みすぎを控えることが重要です。腸を刺激しやすい脂っこい食事や香辛料の多い食事・冷たい飲み物・過度のアルコールも控えましょう。また、ストレスは軟便を引き起こす原因となるため、十分な睡眠や休息をとり、適度にストレスを発散するように心がけてください。キシリトールや人工甘味料も軟便の原因となります。ガムや飴などの過度な摂取も控えましょう。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
軟便や下痢の症状は症状自体の辛さだけではありません。症状が長引くとトイレが近くにないと不安になり、電車に乗ることや外出することをためらってしまいます。そのため、行動が制限されたりQOL(生活の質)の低下を招いたりと、とかく沈鬱な雰囲気になりがちです。暴飲暴食・ストレス・感染性胃腸炎が軟便の主な原因ですが、多くの場合は一時的な症状のため、市販薬の服用で様子を見る場合も多いでしょう。
しかし、軟便や下痢の症状は深刻な健康問題のシグナルの可能性があります。症状が長引く場合や市販薬で改善がみられない場合は、医療機関を受診してください。脱水症状がみられる場合や便に血が混ざる場合は、様子見をせずにすぐ受診しましょう。
編集部まとめ

軟便や下痢とひとくちにいっても原因や症状、疑われる病気はさまざまです。
症状が急に現れ、数日で治まった場合はウイルスや細菌が原因の食あたり・感染性胃腸炎が原因と考えられます。
お腹の調子が悪いときはまずは市販薬で様子を見る人も多いですが、ウイルスや細菌が原因の場合、症状が悪化することもあるため注意が必要です。
軟便や下痢の症状が1か月以上続く場合は、何らかの病気が原因と考えられるため、放置せず医療機関を受診しましょう。
参考文献
下痢|健康長寿ネット
成人の下痢|MSDマニュアル家庭版
下痢|社会福祉法人恩賜財団済生会

