扁桃周囲膿瘍とは扁桃炎が重症化した病気で、扁桃の周囲が細菌感染し、膿が溜まってしまう病気です。
内服薬で治療できることが多い扁桃炎とは違い、この病気は入院して膿を摘出し、抗菌薬を点滴しながら治療するケースが多いです。
38度を超える高熱や左右差のある激しいのどの痛みが特徴で、のどの痛みを感じてから半日~1日で症状が悪化します。また重症化すると命の危険に繋がるおそれがあるとされる病気です。
今回は扁桃周囲膿瘍の治療方法・予後を紹介します
※この記事はメディカルドックにて『「扁桃周囲膿瘍」を発症すると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
扁桃周囲膿瘍の治療法や予後

扁桃周囲膿瘍はどんな治療をするのか知りたいです。
膿が溜まっている部分には血流がなく、抗菌薬が届きませんので、まずは膿を全て取り除くことが重要です。膿瘍部分に針を刺して膿を排出するか、手術で切開して膿を取り除きます。そして抗菌薬を点滴、内服で投与していきます。この病気は炎症をしっかり抑えて完治させないと、再発に繋がりやすい病気です。入院治療の場合、入院期間は痛みの状況・摂食状況・膿の排出具合などを見ながら総合的に判断されますが、およそ1週間が目安となります。退院後は3カ月以上の経過観察が必要とされ、症状が落ち着いた後も、経口薬で完治させることが大事です。
扁桃周囲膿瘍の治療による副作用はどんなものがありますか?
のどにいる細菌、ウイルスを殺菌するのに抗菌薬を使いますので、下痢などの症状が現れる可能性があります。また頭痛・めまい・関節痛・筋肉痛などを感じる方もいらっしゃいますので、その場合は医師が症状に応じて適切な処置を行います。
治療中や治療後の過ごし方を教えてください。
扁桃周囲膿瘍はものを飲み込んだ時に強い痛みを感じますので、食事や水分補給が十分に行えない可能性があります。その場合は入院中なら点滴などによる水分補給を行い、脱水や栄養不足にならないよう気を付けます。また、一旦軽快しても再発しやすい病気です。症状が落ち着いても医師の指導通りに治療に通い、薬の内服も続けてください。また風邪を引くと扁桃炎や扁桃周囲膿瘍を再発しやすいです。風邪を予防するため、空気を加湿してのどを労わり、うがいなどで細菌を洗い流すことも有効です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
扁桃周囲膿瘍は扁桃炎をこじらせた時に発症する病気です。扁桃炎は子どもから大人までがかかるありふれた病気ですので、病院にはかからずに市販薬を使っている人もいるかもしれません。一方、扁桃炎が扁桃周囲膿瘍まで重症化してしまうと、病院で膿を摘出する処置を行わないと完治が難しくなります。また扁桃周囲膿瘍は悪化すると、首の深いところにまで膿瘍が進行し、命の危険に繋がることもある病気です。高熱やのどの痛みなど辛い症状が出た場合は、早めに耳鼻咽喉科にかかることをおすすめします。
ほか、日常から扁桃の腫れを防ぐ方法としては以下が挙げられます。
疲れやストレスをためない
うがいやスプレーでのどを殺菌する
規則正しい生活を送る
マスクで細菌の侵入を防ぐ
乾燥しやすい秋や冬などの季節は、のどや扁桃を痛めやすい時期です。のどを労わって、できるだけ炎症を起こさないようケアしましょう。
また、扁桃周囲膿瘍を放置すると、血液中に菌が入り込み、全身に菌がばらまかれ敗血症となることで一気に全身状態が悪くなり死亡してしまう場合もありますし、扁桃周囲膿瘍によって空気の通り道である気道が閉塞してしまい、窒息してしまうリスクもあります。
特に後者の場合、あまりに遅く病院を受診した場合には人工呼吸のチューブを入れることすらできないぐらい気道が狭窄してしまう場合もありますから、早期に受診する必要があります。
編集部まとめ

扁桃周囲膿瘍は20~30代の男性に多い病気です。
扁桃炎がこじれるとこの病気になり、病院で針や切開手術で膿を出さないと完治しません。
症状としては高熱やのどの痛みを有し、入院治療で抗菌薬を点滴投与しながら治療する場合がほとんどです。
また再発することも多く、再発を防ぐためには、通院、服薬を途中で止めずしっかりと最後まで治療を終えることが必要です。
もしのどの腫れ・高熱・飲み込む時の激しい痛みなどを感じたら、早めに耳鼻咽喉科にかかりましょう。

