放射線療法やホルモン療法は、治療期間や使用する薬剤によって費用構造が異なります。外照射療法は数週間にわたる通院が必要となり、ホルモン療法は継続的な薬剤の使用により費用が累積していきます。いずれの治療も保険適用となるため、高額療養費制度を利用することで月ごとの負担を軽減できます。

監修医師:
新村 浩明(ときわ会 常磐病院)
いわき市医師会副会長
いわき市病院協議会副理事
【経歴】
平成5年富山大学医学部卒
平成5年東京女子医科大学泌尿器科入局
平成17年9月ときわ会 いわき泌尿器科病院
平成23年6月ときわ会 常磐病院(福島県いわき市)
平成27年9月ときわ会 常磐病院院長就任
【資格】
日本泌尿器科学会 専門医・指導医
日本透析医学会 専門医・指導医
日本臨床腎移植学会 認定医
日本核医学会 PET核医学認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医
放射線療法やホルモン療法にかかる費用
放射線療法やホルモン療法は、手術と並んで前立腺がん治療の重要な選択肢です。これらの治療は身体への負担を軽減できる面もあり、手術を避けたい方や併存する病気がある方にとって重要な治療手段です。それぞれ費用の構造が異なりますが、いずれも保険適用となるため、高額療養費制度を活用することで負担を軽減できます。
放射線療法の費用
外照射療法を受ける場合、総医療費は約150万円から200万円程度とされており、3割負担で約45万円から60万円程度が自己負担額の目安です。この治療は1回あたりの放射線量を細かく調整しながら進める必要があるため、治療期間は7週間から8週間にわたり、週5回の通院が必要となります。治療そのものは1回数分で終わるものの、通院のための移動時間や待ち時間が発生するため、仕事や家庭生活との調整が必要になります。また、治療期間中は疲れやすくなったり、軽い排尿トラブルが生じたりすることもあり、通院以外の生活面での負担が出ることもあります。
小線源療法の場合、総医療費は約200万円前後とされ、3割負担で約60万円程度が目安です。小線源療法は入院期間が短く、通院回数も少ないため、生活への影響を抑えやすいという利点があります。いずれの方法も、高額療養費制度を利用することで、月ごとの自己負担額が上限内に収まるため、実際の負担は軽減されます。治療の開始時期や治療期間に合わせて、医療機関の相談窓口で費用シミュレーションをしてもらうと安心です。
ホルモン療法の費用
ホルモン療法は、注射薬や内服薬を継続的に使用するため、費用は治療期間の長さに応じて累積していきます。LH-RHアゴニストの注射薬は、1回あたりの薬価が数万円から5万円程度であり、1か月から3か月に1回の投与が行われます。3割負担の場合、1回あたりの自己負担額は数千円から1.5万円程度です。
抗アンドロゲン薬の内服薬は、1日あたりの薬価が数百円から8千円程度であり、継続的に服用する必要があります。ホルモン療法は数年にわたって続けられることもあるため、長期的な費用負担を見越して、高額療養費制度や医療費控除を活用することが推奨されます。
まとめ
前立腺がんの診断を受けた際には、誰もが不安を感じるものです。しかし、早期に発見し適切な治療を受ければ、良好な経過をたどることができるがんの一つでもあります。治療法は多岐にわたり、手術療法、放射線療法、ホルモン療法など、患者さんの状態や希望に応じた選択が可能です。
費用面では、高額療養費制度や医療費控除、民間保険を活用することで、経済的な負担を軽減できます。前立腺がんは初期症状に乏しいため、定期的なPSA検査による早期発見が何よりも重要です。不安や疑問があれば、泌尿器科の専門の医師に相談し、納得のいく治療を選ぶことが大切です。ご自身の身体と向き合いながら、医師や医療スタッフと協力して、より良い治療と生活を目指していきましょう。
参考文献
前立腺がん 基礎知識:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ
前立腺がん|日本泌尿器科学会
高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省

