日本脳炎は日本を含む東アジア・東南アジア・南アジア・西太平洋地域にみられる感染症です。日本では患者数が激減していますが、世界的には2年から15年の間隔で流行しています。
ここでは発症すると脳に大きなダメージを受ける可能性がある日本脳炎の予防法などを紹介しましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「日本脳炎」を発症すると現れる初期症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
日本脳炎の予後と予防方法

日本脳炎は後遺症が残る病気ですか?
日本脳炎は脳に大きなダメージを受ける感染症です。脳はとても繊細な臓器であるため一度壊れてしまった脳を元に戻すことは大変難しいでしょう。そのため今後日本脳炎に効果のある薬が開発されたとしても日本脳炎を発症した場合は、何らかの後遺症が残る可能性がとても高いといえます。対症療法が進歩し日本脳炎の死亡者数は減少していますが、日本脳炎を発症した人の30%から50%は脳に何らかの後遺症が残るでしょう。
日本脳炎の死亡率を教えてください。
日本脳炎を発症した場合の致死率は、約30%です。日本脳炎はウイルスに感染しても必ず発症するわけではありません。ただ、発症した場合はとても死亡率が高く、重い後遺症が残る感染症といえるでしょう。とくに幼い子どもや高齢者の死亡率が高くなる傾向にあります。
予防方法が知りたいです。
日本脳炎は、効果の高い予防接種が開発されています。日本では乳幼児期から定期的に不活性化ワクチンを接種することが義務づけられています。ワクチンを接種した場合の日本脳炎の予防率は75%から95%ととても高い効果を期待することができるでしょう。
ワクチン接種の第1期は3歳で2回の接種を行います。満3歳で1回目を接種し、1回目の接種から6日から28日後に2回目の接種を受けます。2回目の接種から1年後に3回目のワクチン接種を受けましょう。2期は9歳で1回接種します。日本脳炎ワクチンの接種に関してお住いの自治体からお知らせが届くため指示に従ってください。
また、日本脳炎は蚊が媒介する感染症です。蚊は日本脳炎だけではなくテング熱などさまざまな感染症を媒介するため、蚊に刺されないように肌が露出しているときは虫よけスプレーなどを活用するといいでしょう。とくに夏は、蚊の活動が活発な季節です。
夏の休暇中にキャンプや釣りなどの野外での活動をするときや蚊が活発に活動する夜間には、できるだけ長袖・長ズボンを着用し蚊に刺されないような対策をすることが大切です。
日本脳炎はワクチン接種による予防が大切です。
日本脳炎は発症すると治療することが難しい感染症ですが、日本脳炎のワクチンを接種することで高い確率で予防することができる感染症でもあります。日本では日本脳炎ワクチンの接種が義務付けられており、お住いの自治体から出生後に予防接種のスケジュールに関するお知らせが届くようになっています。日本脳炎のワクチンを忘れずに接種することは、日本脳炎にかからないための最大の予防策といえるでしょう。
編集部まとめ

日本脳炎は予防接種の普及により日本国内では患者数が減少している感染症です。ただ日本脳炎ウイルスを保有している豚が多くおり、感染する可能性があることも事実です。
日本脳炎は昔の感染症ではなく、いつだれがかかってもおかしくない身近な感染症であるということを覚えておくことが大切といえるでしょう。
日本脳炎の特効薬は開発されていませんが、ワクチンを接種することで日本脳炎ウイルスに感染することを防ぐことができる感染症でもあります。
忘れずにワクチン接種をし、感染媒体である蚊に刺されないように注意しましょう。
参考文献
日本脳炎とは(JIHS 国立感染症研究所)
日本脳炎ワクチン接種に関するQ&A
日本脳炎(厚生労働省)

