●配偶者が「会社に突撃」→業務が完全にストップするケースも
──具体的には、どのような影響が出るのでしょうか。
たとえば、上司と部下が不倫関係にある場合、どうしても業務の割り振りや人事評価に「えこひいき」があるのではないかと疑われがちです。たとえ実際はそうでなくても、周囲がそう感じてしまいます。
すると、真面目に働いている従業員のモチベーションが下がり、「あの二人がいるなら辞めます」と連鎖的な退職につながることも少なくありません。
また、当事者の関係が破綻した後に、職場で無視し合ったり、業務連絡を滞らせたりするなど、「痴話喧嘩の延長」が業務に持ち込まれるケースも珍しくありません。
さらに深刻なのが、不倫相手の配偶者が会社に乗り込んでくる事態です。
「会社は不倫を容認しているのか!」と怒鳴り込まれたり、執拗に電話がかかってきたりして、業務が完全にストップしてしまうこともあります。
こうした相談の背景には、常に「業務への具体的な支障」が存在しています。
●就業規則に「社内不倫禁止」、規定することは可能だが…
──就業規則に「社内不倫禁止」を明記することはできるのでしょうか。
結論から言えば、「社内不倫禁止」という文言を就業規則に書くこと自体は可能です。企業が定める服務規律には、一定程度の裁量が認められているからです。
ただし、その規定が、常に「有効(絶対的な禁止)」として機能するかどうかは別問題です。
従業員の私生活は原則として自由であり、会社が過度に介入することはできません。
裁判例でも、職場外での行為については、企業の社会的評価を損なったり、業務に重大な支障を及ぼしたりしない限り、懲戒処分の対象にならないとする考え方が確立しています。
そのため、単に「不倫はけしからん」という理由だけで、私生活上の不倫を一律に禁止し、処分することには高い法的リスクがあります。

