「お兄ちゃん、何組? 俺知ってるかも!」サッカーチームで交わされた、他愛のない会話。しかし小学4年生の息子は、その質問に口をつぐんでしまいました。その理由とは……? 友人が、体験談を語ってくれました。
「何組?」無邪気な質問に、口を閉ざした息子
小学4年生の息子には、障害を持つ2歳上の兄がいます。
最近、息子が入ったサッカーチームでのこと。チームメイトのAくん親子と話す中で、兄弟の話題になったそうです。
「一人っ子?」と聞かれ、息子は「お兄ちゃんがいる」と答えました。
するとAくんが「え? 何年生?」と食いつき、息子が「6年生」と答えると、さらに質問が続きます。
「何組? 俺知ってるかも!」
息子は黙ってしまいました。
兄は地域の小学校ではなく、離れた地域の支援学校に通っているからです。
息子の沈黙を不思議に思ったのか、Aくんのお母さんが助け船のように言いました。
「もしかして、お兄ちゃん私立行ってるとか?」
息子はそのまま無言でやり過ごしたそうです。
「言えなかった」複雑な気持ちと、重なる母の記憶
帰宅後、息子は「うまく答えられなかった」と、しょんぼりして私に教えてくれました。
嘘をついたわけではないけれど、兄の障害を隠したような形になってしまったことへの後ろめたさ。
私には、その気持ちが痛いほどわかりました。
障害を持つ長男を産んだとき、私自身にも長く深い葛藤があったからです。
当時は現実を受け入れられず、友人にも長男の話を避けていました。
大人の私でさえ、障害受容には長い年月が必要だったのです。
今は私も受け入れ、聞かれれば自然に答えられます。でも、まだ10歳の息子が、突然の質問に言葉を詰まらせるのは当たり前のこと。
兄のことが大好きだからこそ、なんと説明すればいいか、どう言えば相手に伝わるか、とっさに分からなかっただけなのです。

