古着のジレンマについて『ザキ山小屋』/テレビお久しぶり#171

古着のジレンマについて『ザキ山小屋』/テレビお久しぶり#171

「テレビお久しぶり」
「テレビお久しぶり」 / (C)犬のかがやき

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『ザキ山小屋』(ABCテレビ)をチョイス。

■古着のジレンマについて『ザキ山小屋』

オーナーのアンタッチャブル・山崎弘也と、従業員のドランクドラゴン・塚地武雅がMCを務めるトーク・バラエティ、『ザキ山小屋』。今回のゲストは、大の古着好きとして知られる、四千頭身・都築拓紀とダンスボーカルユニットM!LKの曽野舜太。私物の古着をいくつか持参し、古着との出会いと愛を語る。

私も古着ばかり買うんで、非常に興味深く、面白く見られたのだけど、私は古着が相対的に安いから買うんであって、“そのもの”にはそこまで興味が無いニワカだから、ゲストの2人が「前に着ていた人のことを想像する」と話しているとき、そうか、そういえば、前に着ている人がいるんだ、と目からウロコだった。古着って、新品と比べて安い服、というわけではなく、誰かのおさがりなのだ。もう10年近く古着を着続けているのに、そんな当たり前の事実がなぜだか頭から抜け落ちていた。

だから、MCの山崎と塚地が(冗談で)使用済みの服であることを指摘するとき、新鮮にそのジレンマについて考えさせられた。確かに、このジーパンを前に履いていた人がいるのだ。いくらかの小便だって付着したはずだ。潔癖で銭湯やプールに入れない私だから、忌避したっておかしくないのだけど、改めて考えてみても、なんか大丈夫だなあ。うん、まったく大丈夫だ。どうして大丈夫なのかを理屈で説明できないのだけれども、人間というのは理屈でできているわけではないのであった。

店で手に取る古着の一着一着の歴史を思う楽しさは、確かに計り知れないものだろう。そこを思いきりすっ飛ばしていた私は不誠実とさえ言え、反省するばかり。曽野舜太によって語られた、八王子の中学校のジャージがパリに並んでいたエピソードには感動した。これこそまさに歴史。映画のフィルムなんかでもそうなのだけど、モノが旅をし、誰かによって発見されるというのは、つねに感動的な出来事なのだ。

それにしても、私に良い古着の選び方を教えてほしいものだ。都築拓紀を街で見かけたことがあるけれど、それはオシャレだったもの。古着に限らず、洋服って、店で買って、持って帰っている間にどんどんカッコよくなくなっていき、家の鏡の前にたどり着いたときにはすっかりダサくなっている。店で見たカッコよさが長続きする洋服が欲しい。クーラーボックスとかに入れればいいのかね?

■文/城戸

提供元

プロフィール画像

WEBザテレビジョン

WEBザテレビジョンは芸能ニュース、テレビ番組情報、タレントインタビューほか、最新のエンターテイメント情報をお届けするWEBメディアです。エンタメ取材歴40年以上、ドラマ、バラエティー、映画、音楽、アニメ、アイドルなどジャンルも幅広く深堀していきます。