語彙力や記憶の定着には「繰り返し読み」

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では繰り返し読みの効果を説明しましょう。まず注目したいのが語彙の学習効果です。ある文章を初めて読むとき、子どもはストーリーやキャラクターに夢中になってしまい、新しい言葉の意味までしっかりと理解できていないことがあります。
同じ本を何度も読んでいると、物語の流れに慣れ、少しずつ細かい部分にも注意が向くようになります。サセックス大学のホルストらの研究では、同じ話を繰り返し読んだ子どものほうが、異なる話を次々と読んだ子どもより新しい言葉をよく覚えていたことが示されました。ペンシルベニア州立大学の田口らの研究でも繰り返し読みを行うことで新しい単語や文法項目を学び、記憶に定着させる効果が報告されています。
繰り返しの読書は読書スキル全体の発達にも役立ちます。マイアミ大学のダウハウアーによると、同じ文章を繰り返し読む練習は音読のスピードや正確さを高めるだけでなく、文を意味のあるかたまりで読めるようになる力、すなわち読書の流暢さも育ててくれるそうです。アメリカの国立読書パネルの報告でも初期学習者の子どもにとって繰り返し読むことが読解力を高めるのに中程度の効果があるとされています。繰り返し読むことによって文字認識が自動化され、読むスピードや正確性が向上するため読解がしやすくなるのです。

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繰り返し読みは小さなお子さんへの読み聞かせでも有効です。子どもにせがまれ何度も同じ本を読んでいると、「ほかにもいろんな本を読んでほしいんだけど」と感じるかもしれませんが、その心配は無用です。1回目の読み聞かせでは気づかなかった小さな伏線や細かな描写にも、2回目、3回目と読むうちに気づけるようになります。言葉もしっかり覚えていきます。また繰り返し読みは同じ情報に何度も触れることで記憶が定着しやすい利点があります(エビングハウスの忘却曲線)。多読と比べると接する情報量は限定される反面、特定の知識をしっかり身につけたいならやはり繰り返し読みでしょう。受験勉強でしばしば「参考書は一冊に絞れ」と言われるのも、記憶の定着に期待できるからです。

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まとめると、多読は総合的な知識を広げ、将来的な応用が期待できる読み方です。繰り返し読みは特定の領域についての理解を促進し、短期的な目標があるときに有利です。
たとえば最初は多読で広く読書の楽しさを経験し、自分が苦手な領域やもっと深く知りたいと思った領域は繰り返して読むようにすると、両方のメリットを活かせるかもしれません。
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総合的な知識を広げたいなら「多読」。
読解力や記憶力アップには「繰り返し読み」
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いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方
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※本記事は、『いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方』<著:堀田秀吾/Gakken>より抜粋・再編集して作成しました。
