健診で示される腎臓の数値は、体のSOSを早期に知る手がかりです。見落とさず理解することが、腎機能低下の予防につながります。そこで、つつじヶ丘駅前内科クリニックの小出先生に詳しく教えてもらいました。
≫【1分動画でわかる】健康診断の「腎臓の数値の見方」をご存じですか? 結果から考えられる疾患も医師が解説

監修医師:
小出 高彰(つつじヶ丘駅前内科クリニック)
旭川医科大学医学部医学科卒業。東京医科歯科大学(現・東京科学大学)大学院医歯学総合研究科博士課程修了。済生会川口総合病院、横須賀共済病院腎臓内科、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)病院腎臓内科、公立昭和病院腎臓内科を経て2024年つつじヶ丘駅前内科クリニック開業。日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、医学博士。
健康診断で指摘される腎臓の数値にはどのようなものがあるのか?
編集部
腎臓の状態を見るときに重要な数値は何ですか?
小出先生
健診では「血清クレアチニン(Cr)値」「eGFR(推算糸球体濾過量)」「血中尿素窒素(BUN)」「尿蛋白(たんぱく)」が主に確認されます。これらは腎臓のろ過機能や老廃物処理の状態を示す数値であり、いずれかに異常があると腎機能の低下を疑うきっかけになります。
編集部
血清クレアチニンとはどのような数値ですか?
小出先生
クレアチニンは筋肉の代謝で生じる老廃物で、腎臓から尿として排泄されます。血液中の値が高いと、腎臓のろ過機能が落ちている可能性があります。
編集部
eGFRは何を表していますか?
小出先生
eGFRとは、腎臓がどれくらい血液をろ過できるかを推定する指標のこと。簡単にいえば、「腎臓の機能が万全なときを100%とすると、今は何%機能しているのか?」を示すものです。60未満は慢性腎臓病の疑いがあるとされ、早期発見の鍵になります。
編集部
血中尿素窒素(BUN)とはなんですか?
小出先生
BUNとは血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のこと。直接腎臓の機能を示す数値ではありませんが、血清クレアチニンとどれくらい乖離しているかによって腎臓の機能を評価することができます。
編集部
尿蛋白はどうして大切なのですか?
小出先生
尿にたんぱく質が混ざるのは、腎臓のフィルター機能が壊れ始めているサインです。健診で「尿蛋白+」と出た場合は、一過性か慢性かを区別するため、再検査や精密検査が推奨されます。
それぞれの検査数値が示す異常と、病気の可能性
編集部
血清クレアチニンが高いとどんな病気が考えられますか?
小出先生
クレアチニンの数値が高いときは、腎臓のろ過機能低下を示します。この場合には、慢性腎臓病や薬剤性腎障害などが考えられます。急性の腎障害でも急上昇することがあり、早期対応が必要です。
編集部
eGFRが低下するとどのような病気が疑われますか?
小出先生
eGFRが低下すると腎機能が低下していることが示唆されます。60未満に低下すると軽度~中等度の腎機能低下とされます。また、15を切ると人工透析をしなければならない可能性も生じてきます。
編集部
BUNが高いと何を意味しますか?
小出先生
BUN(血中尿素窒素)が高いと、老廃物がうまく排泄できていない可能性があります。腎不全のほか、脱水や消化管出血、たんぱく質の過剰摂取などでも上昇するため、総合的な判断が必要です。
編集部
尿蛋白が出るとどんな病気が考えられますか?
小出先生
腎臓に何らかの障害が生じている可能性があり、その原因としては糖尿病や高血圧に伴う腎機能障害が多くみられます。一時的に激しい運動や発熱で出る場合もありますが、繰り返しタンパクが確認される場合は腎臓の病気が隠れていることがあるため、精密検査が必要です。

