母として選ぶ、これからの生き方
それから数週間後、夫は精神科に通院を始めた。診察の日は黙って出かけ、帰ってくる。必要以上に話そうともしない。夫婦としての温度は、相変わらず低いままだった。それでも、育児に関してだけは、私は線を引いた。
「子どもたちの前では、きちんと父親でいて」
その約束は、最低限守られていた。夫婦ではなく、協力関係だと割り切ることにした。
一方で、私は静かに動き始めていた。実家との連絡、貯金の確認、必要な書類の整理。
今すぐ離婚するわけではない。けれど、「いつでも選べる状態」を作っておく。それが、母親としての覚悟だった。夜、子どもたちの寝顔を見つめながら、私は思う。
(信頼が壊れた関係は、こんなにも冷たい。でも、守るものがあるから、私は立っていられる)
この先、どうなるかは分からない。それでも、私はもう、自分の人生を他人任せにはしない。
母として。ひとりの人間として。
選ぶ覚悟は、すでにできている。
私は私とわが子たちの幸せのために、自分の道を生きるから。
あとがき:選ぶ覚悟が、自分を支える
最終話で描かれたのは、和解でも決別でもない「主体的な選択」です。夫が治療を受けることを条件に婚姻関係を続けること、いつでも離婚を選べる状態を整えること。それは冷たさではなく、母として、ひとりの人間としての責任であることがうかがえます。
信頼が壊れた関係は簡単には戻りません。それでも、自分の人生を他人任せにしないと決めた真緒は、確かに前を向いています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

