
「出勤したら会社が倒産していた」という衝撃的な経験を持つ新人・山田さん。 「だから!潰れない郵便局を選んだ!」と、安定を求めてコールセンターへの転職を決意した。 初出勤の日、職場には優しそうな先輩たちが揃っており、山田さんは胸を撫で下ろす。しかし、「最近入るそばから人が辞めちゃって」という先輩の言葉が、不穏な未来を暗示していた。 表面上は親切な先輩たちだが、なぜか電話が鳴っても受話器を取ろうとしない。結果として山田さんばかりが対応に追われ、精神的に追い詰められていくことになる。



■職場内の孤立とクレームのリアル
本作『コールの稀人(マレビト)』を描いたのは、現役の郵便局員でもある送達ねこさん(@jinjanosandou)だ。 漫画に描かれた陰湿な職場環境について送達ねこさんに尋ねると、「クレームやトラブル、職場内での孤立感などは実際に存在する」と語る。 作中で山田さんはミスをして落ち込むが、送達ねこさんによれば、それは厳密にはミスとは言えないという。 「お客様を助けたい」という善意から、忙しそうな先輩を頼らずに自ら配達員に依頼した行動。本来なら感謝されてしかるべき対応だが、社内の制約や特例を求める厄介な客の存在により、結果として「やってしまった」という自己否定につながってしまったのだ。 郵便局に入ったばかりの新人は、こうした理不尽な壁にぶつかることが多いという。
■限界を迎えた新人を救った「第三の声」
トラブルが続き、電話恐怖症になりかけていた山田さん。辞職を決意したその時、背後から不思議な声がかかる。 「山田さん。大丈夫、出るよ」 しかし、そこには誰もいなかった。この謎の人物の正体は何だったのか。 送達ねこさんは、読者からのコメントで「サードマン現象」という言葉を知ったという。 サードマンとは、登山隊や9.11の生還者などが証言している現象で、人間が極限状態に陥った際、目に見えない「第三の人」が導き手として現れることを指す。 多大なストレスと危機的状況に直面した山田さんの防衛本能が、普段は接することのない存在を呼び起こしたのかもしれない。送達ねこさんは「潜在的な適応能力なのか、守護天使なのか…タイトルを『コールのサードマン』にすればよかったかも!」と振り返る。
読者からは「どの業界にも電話を取らない人はいる」「霊よりも人間の方が怖い」といった共感の悲鳴が相次いだ。 日本のどこかの町でひっそりと起きている、郵便配達員たちの不思議な体験談。仕事に疲れた夜、覗いてみてはいかがだろうか。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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