言い逃れができてしまうことも……現役ブリーダーが感じた“動物愛護法”の問題点
杉さんは、ブリーダーを本業にして生計を立てていくのは、本来であれば無理があることだと話す。命を尊重するには体づくりに必要な栄養価の高いフードや設備を整える必要があるからだ。利益を優先すると、猫たちは必然的に無理を強いられることになるという。
動物愛護法にはいろいろな規定が記されているが、それらは猫が生きるために必要な最低限なことでしかない。「ただ生きているだけでは、幸せではないはず。でも、動物愛護法で定められているよりも狭いケージで飼育しているブリーダーが保健所の指導で廃業になった話を、私は聞いたことがありません」
たとえ、保健所の指導が入ったとしても、「順番にフリースペースに出している」と言い逃れることができ、出産の年齢制限や回数なども、ブリーダーの言葉を信じるしかないのが今の動物愛護法の問題点だと杉さんは語る。「でも、逆を言えば、ブリーダーの良心や猫への愛情を図る術もない。私はバーミーズという素晴らしい猫種を絶やしたくない一心でブリーディンをしていますが、保護活動をしている方から見ると、猫を増やしている私も悪に見えると思う。人間と動物が関わるって、本当に難しいことなのだと感じます」
保護猫を迎えることが主流となっている近年は、純血種を迎え入れることが「悪いこと」のように捉えられることもあるが、どの猫にどんな思い入れがあり、どう暮らしたいかは人によってさまざまだ。保護猫の命を守ることはもちろん大切で尊いことだが、純血種として生まれてきた猫にだって幸せを掴む権利はある。どんな生い立ちの子も幸せが掴みやすくなるには、まず本当に種を尊重するブリーダーだけが繁殖を許されるよう、動物愛護法が改正されることが大切だ。
保護猫文化が盛んな今だからこそ、杉さんのブリーダー論や熱いバーミーズ愛が幅広い人に届いてほしい。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

