2週間に1回投与で通院負担を軽減
従来のBCMA標的の二重特異性抗体は毎週投与が基本で、効果が得られた場合には、半年後から2週間に1回、1年後には月1回というように徐々に間隔を空けていきます。
伊藤教授によれば、タービーには2つの投与方法があります。0.4mg/kgを毎週投与する方法と、0.8mg/kgを2週間に1回投与する方法です。
「最初から2週間に1回の投与が選択できるのは、患者さんの利便性を大きく向上させます」
青森県など、遠方から2時間かけて通院される患者さんもいます。
「毎週の通院は大きな負担ですが、2週間に1回なら負担が半分になります。仕事を続けながら治療を受ける患者さんにとっても、通院回数が少ないことは重要なメリットです」と伊藤教授は強調します。
さらなる新薬開発で「共存」から「治癒」へ
タービーはGPRC5Dを標的とする現在唯一の薬剤です。伊藤教授は「BCMAを標的とした薬剤による治療で再発した患者さんにも使用可能で、さらなる予後改善が期待できます。標的が違う薬剤があることで、再発しても次の治療選択肢があるという希望を患者さんに提供できます」と語ります。
現在は単剤での使用ですが、臨床試験では新しい組み合わせの研究が進んでいます。抗原の異なる薬剤を2つ組み合わせたり、従来の免疫調節薬やダラツムマブと併用したりなど、より有効性を高めることを目指した治療法の開発が進んでいます。
伊藤教授によれば、5~10%の患者さんは、現在の治療で20年、30年と長期生存されるようになってきたといいます。
「新薬の登場により、この割合がさらに増えることが期待されます。多発性骨髄腫は『治らない病気』から『長く付き合える病気』へ、そしていずれは『治る病気』へと変わっていく可能性があります」
編集部まとめ
タービーの登場は、多発性骨髄腫治療における大きな転換点となりました。従来の治療が効かなくなった患者さんに70%以上の奏効率を示し、2週間に1回の投与も可能という利便性も備えています。副作用は適切な管理で対処可能であり、多くの患者さんが治療を継続できています。
今後さらなる治療法の開発により、多発性骨髄腫と共に長く生きる時代から、治癒を目指せる時代への移行が期待されています。この記事が、同じ病気と闘っている患者さんやご家族の希望をつなぐ一助となりましたら幸いです。
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