●新井氏「騒ぎが大きくなり、真実をいうタイミングを逃した」
もう一つ、この事件で残されたことがある。それは、性被害の訴えを社会はどう受け止めれば良いのか、という問題だ。
そもそも、騒動の発端となった電子書籍を読むと、告発に至る背景やライターの執筆動機に温泉の入浴法をめぐる対立があったことがわかる。新井氏の告発会見などを取材した地元の記者は「話す内容に不自然な点が多かった」として当初は記事化を見送ったという。
告発内容が当初と変遷したことについて裁判で問われた新井氏は、「騒ぎが大きくなる中で、自分の中で真実をいうタイミングを逃して追い詰められていきました」と打ち明けた。
事実が曖昧な中で、周囲の声が高まり、後に引けなくなった状況があったようだった。

●町長「本当に性被害にあった人が泣き寝入りしてはいけない」
ただ一方で、こうした被害の訴えがあったとき、第三者が完璧な証拠や一貫した話ぶりなどを本人に求めすぎることは、声を抑え込む方向に働き、ひいては泣き寝入りを強いることにつながる。逆に、事実を置き去りにして、疑惑の段階で処罰感情を高めることは冤罪の被害者を生む。
このバランスの重要性について、黒岩町長は過去の弁護士ドットコムニュースの取材に、次のように強調している。
「実際に性被害やセクハラを受けている人はたくさんいると思います。一般的に考えれば、女性が声を上げたらそれはほぼ正しいことだと私は思うんです。
性被害の問題では冤罪もあるということを分かってほしいと思います。これだけ大きな事件になったわけですが、世の中にはもっと冷静に見てほしかった。
今回の事件によって、本当に性被害を受けた人が声を上げづらくなっているとしたら大変な問題です。これが前例になって本当に性被害にあった人が泣き寝入りする世の中になってはいけません」


