【五感】触覚で楽しむ絵本3選。さわることから多様な感覚を体験しよう!

③『うどん できた!』—料理の手ざわりを想像してみよう

加藤休ミ・作『うどん できた!』福音館書店、2017年(画像提供:福音館書店)

小麦粉からうどんを作る様子と、素材に触れた時の感覚をリアルに描き出す『うどん できた!』。手の温度や料理の温かさまで伝わってくるようで、思わず「食べてみたい」と感じる一冊です。

加藤休ミ・作『うどん できた!』福音館書店、2017年、p.4,5

作者の加藤休ミ氏は、クレヨンとクレパスを使用し、本物の料理が目の前に現れたかのような、臨場感あふれる作品を生み出しています。

うどんの粉と塩水を混ぜるシーンでは、さらさらとした粉が塊になっていく感触が、生き生きと表現されています。「ふわふわしてたのに ぺとぺと ゆびに くっついた!」というセリフから、手ざわりの変化まで感じられるでしょう。

加藤休ミ・作『うどん できた!』福音館書店、2017年、p.10,11

さらに工程が進むと、手の感覚だけでなく、全身の動きも加わっていきます。生地を踏む動作を「ふみふみダンス」と名付けて、足の裏や身体全体を使って楽しむ様子が描かれています。読者が「実際に作ってみたい」と感じられるような工夫が、細部にちりばめられているのが魅力です。

加藤休ミ・作『うどん できた!』福音館書店、2017年、p.16,17

また、親子のやりとりや子どもの反応が丁寧に描かれている点も、作品のリアリティにつながっていると言えるでしょう。

うどんを足で踏んだ後、生地を寝かせていると、「そろそろ おひるねじかんは おしまいよ」というお母さんの言葉を聞いて、男の子が「うどんだんごー おきてー。」と語りかけます。自分で料理をする体験を通して、愛着がわいていることが伝わってくるシーンです。

本物そっくりに描かれた小麦粉や生地に、自然と手を伸ばしたくなるような、お子さんの好奇心を刺激する絵本です。詳しいレシピも付いていますので、ぜひご自宅でチャレンジしてみてください。

絵本をきっかけに、お子さんと一緒に料理の手ざわりを想像し、自分で作る体験を楽しんでみましょう!

まとめ:さわる楽しさから発見する多彩な感覚

今回は、触覚をテーマに、3つの絵本をご紹介しました。やわらかいもので遊ぶ心地良さや、しかけから物語の世界に入り込む面白さ、料理を作るプロセスを全身で味わう体験など、お子さんが自ら関わりたくなる作品ばかりです。

読み聞かせをしながら、手を動かしたり、同じ動きをまねしてみたりと、さわる感覚を入り口に、お子さんの豊かな感覚の芽を見つけてみてくださいね。

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※本記事の画像は、各出版社に許諾を得た上で、提供いただいた画像およびスキャンデータを作成して掲載しています。

《参考文献》
・ヨシタケシンスケ『こねて のばして』ブロンズ新社、2017年
ブロンズ新社 - こねて のばして
・木曽秀夫作・絵『しっぽ しっぽ しっぽっぽ』フレーベル館、2022年(初版:2011年)
しっぽ.しっぽ.しっぽっぽ.|フレーベル館 出版サイト
・加藤休ミ・作『うどん できた!』福音館書店、2020年(初版:2017年)
うどん できた!|福音館書店
・小野明『絵本の冒険「絵」と「ことば」で楽しむ』フィルムアート社、2018年
・日下部行洋編『別冊太陽スペシャル 絵本作家のしごと』平凡社、2024年
・勝山俊光編『絵本作家61人のアトリエと道具』玄光社、2017年

《参考記事》
vol.140 クレヨン画家・絵本作家 加藤休ミさん(前編)(mi:te[ミーテ])
クレヨン画家・絵本作家 加藤休ミさん 絵本作家インタビュー(前編)|mi:te[ミーテ]

配信元: イロハニアート

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