●「法律がシノギに使われていないか」ベテラン刑事弁護人の疑問
「その懸念が、実際のものになりつつあるのでは」
こう語るのは、北海道で刑事弁護に長年携わってきた中村憲昭弁護士だ。中村弁護士は、いわゆる「美人局」が疑われる事案に接してきたという。
1年以上前に担当した事件では、知人宅を訪れた男性が、知人の留守中に交際相手の女性と性交に及んだ後、数日して不同意性交等罪で逮捕された。
男性が相当な高額所得者であることを、その知人は知っていた。
「鍵が開いているから入っていて」と言われて訪れた部屋には女性一人がいた。後に「同意はなかった」と被害届を出された。
示談交渉は、交際相手と称する知人男性が窓口となった。結局男性は、1000万円近い慰謝料を支払わざるを得なくなった。
今年、札幌弁護士会の電話相談でも「出会い系サイトで出会った女性とホテルに行ったら、不同意性交等罪で警察沙汰になっている」という相談が複数寄せられたという。
●特定の地域でノウハウが共有されている可能性
こうした手口が、特定の地域で共有されているのではないかと中村弁護士は懸念を示す。
数年前には、路上で声をかけた女性とトラブルになった会社経営者のケースもあった。いわゆるナンパで、性的な行為はなかったにもかかわらず、100万円の示談金を支払って和解した。女性はスマホで動画を撮影していたという。
「金銭請求の交渉に現れた女性の知人や代理人の顔ぶれが、風俗業界でよく知られた存在だったこともあったほか、ほかの弁護士からも同様の話が伝わっており、一定のノウハウが広まっているのではと感じています」(中村弁護士)

