井上尚弥選手VSムロジョン・アフマダリエフ選手の“世紀の一戦”を支えた裏方に密着「最後は気持ちで勝ってもらいたい」<THE DAY ~勝負の日~>

井上尚弥選手VSムロジョン・アフマダリエフ選手の“世紀の一戦”を支えた裏方に密着「最後は気持ちで勝ってもらいたい」<THE DAY ~勝負の日~>

「THE DAY ~勝負の日~ J SPORTS Documentary Series」第2回が9月25日に配信された
「THE DAY ~勝負の日~ J SPORTS Documentary Series」第2回が9月25日に配信された / (C)NTT DOCOMO, INC.

オリジナルドキュメンタリー番組「THE DAY ~勝負の日~ J SPORTS Documentary Series」の第2回が、9月25日にLeminoで配信された。第2回は、9月14日に行われた井上尚弥選手とムロジョン・アフマダリエフ選手による「4団体統一世界スーパー・バンタム級タイトルマッチ」に密着。ここまでプロ30戦無敗の王者“モンスター”井上選手と、2016年リオ五輪の銅メダリストでプロでも2団体を統一した“ウズベキスタンのエリート”アフマダリエフ選手が激突した試合を支えた裏方たちの働きを通して、スポーツの深淵に迫っている。(以下、ネタバレを含みます)

■アスリートを巡る物語を描き出す完全時系列ドキュメント

同番組は、スポーツテレビ局のJ SPORTSが制作を担当。試合日に密着し、選手、関係者全ての出来事がリアルタイムで進行していく様を複数台のカメラで同時収録を行い、スポーツの奥深さやアスリートを巡る物語を描き出す完全時系列ドキュメントだ。

第2回では両選手のほか、井上選手の所属する大橋ボクシングジム・大橋秀行会長、実況を務める赤平大アナウンサー、解説者の長谷川穂積氏、試合を裏で支える施設運営責任者・崎原徹氏らを同時密着し、世紀の一戦の舞台裏をひもといている。

朝6時22分、会場である愛知・IGアリーナにやってきた崎原氏は、施設内を点灯した後、機材車両の停車位置を1台ずつ確認し、生配信を担う技術チームとの連携確認など、会場内を歩き続けて開場に備える。

朝9時37分、赤平アナが会場の構造を把握するべく会場入り。「さすがIGアリーナですね。最新の設備とは聞いていましたけど」と感嘆しながら、実況席もチェック。そんな中、「例えば、井上選手がまぶたの上をカットしたとしたら、1分間の間に情報を取るために、ここ(実況席から赤コーナーまで)を走らなきゃならないんです。お客さんの邪魔にならないよう、狭いと屈んで走らなきゃならないので、こういう所も確認しています」とリングサイドの幅を確認する理由を明かす。その後、選手紹介の文章の精査を行った。

そんな中、赤平アナは「長らくこの仕事をしている者としては、井上尚弥というボクサーが『もしかしたら衰えているのではないか?』と世界中から言われている中で、彼がどういうパフォーマンスを見せるのかというのが、専門的な見方をすれば注目ポイント」と語り、「何パターンかあり得ると思うんですけど、“本当に衰えてしまっている”または“今まで通り強かった”または“バージョンを変えてきた”。僕は『第三の道があったら面白いな』と思っていて、違う井上尚弥の戦い方をやっていくと、“井上尚弥・第二章”がこれから始まる可能性があるなと思っているので、今日僕はそっちに注目したいなと思っています」と、ワクワク感をにじませた。

■長谷川氏「ワンランク上の井上選手が見られるんじゃないかな」

昼0時31分には大橋会長が会場入り。大橋会長は「ボクサー生活で一番緊張しているかもしれないですね。眠れなかったというのも今回初めてです。試合に対する緊張とワクワク感、それが入り混じった心境」と漏らし、「厳しいし、難しい試合になると思うんです。でも、最後は気持ちで勝ってもらいたい」と打ち明ける。

昼0時46分、会場に到着した長谷川氏は「井上選手が勝つことはもちろんなんですけど、けがなく終わればいいかなと思ってます」と元ボクサーらしい選手を慮った思いを吐露。

その後、アリーナの中に足を踏み入れた長谷川氏は「ラスベガスの会場みたいです。世界的なスターになっている井上選手にふさわしい会場だと思うので、これからこの会場がビッグイベントの会場になるんじゃないかなという雰囲気は感じられます」と興奮気味に語り、試合については「アフマダリエフって素晴らしい選手だと思うんですけど、井上選手って相手が強ければ強いほど自分もさらに強くなれる選手だと思うので、今回相手が強いぶん、ワンランク上の井上選手が見られるんじゃないかな」と予想する。

夜8時13分、会場に試合開始のゴングが鳴り響くと、第1ラウンドから慎重な立ち上がりを見せ“倒すボクシング”ではなく“勝つボクシング”に徹底した井上選手。第6ラウンドからは王者の貫禄を見せ始める。井上選手の左ボディーを連打されるなど、アフマダリエフ選手は防戦一方だ。その後、井上選手は相手のパンチを誘ってからカウンターを狙うなど、技術戦に特化した玄人好みの試合運びで最終ラウンドを終え、勝負は判定へ。

技術でも相手を圧倒した井上選手に軍配が上がり、“史上最強の挑戦者”を退けた。そんな井上選手を、赤平アナは「井上尚弥は衰えてはいません。まさに進化した井上尚弥」と評し、解説席の長谷川氏は「僕はこういう技術戦が好きだし、KO勝ちもいいんですけど、それ以上の価値がある試合だったんじゃないかなと思います」とうなった。

リング上の勝利者インタビューでは、井上選手は「アウトボクシングもいけるでしょ? 誰が衰えたって?」とちゃめっ気たっぷりに会場を盛り上げつつ、「(KOで)倒しにいきたい気持ちはすごくあり、そんな気持ちをグッと抑えながら、判定決着に考えをおいて戦っていました。今日はこの戦い方が大正解だったと思います」と振り返った。

大きな興行を終え、崎原氏はディレクターからの「どういうアリーナにしていきたい?」という問いに、「今までにないアリーナ。今までのアリーナを超えていく。それに近づける。もっともっといいものにしていく」と、展望と意気込みを語った。

あえて選手だけでなく関係者にもスポットを当てることで、試合に関わる者全ての視線からスポーツの奥深さに迫る「THE DAY ~勝負の日~ J SPORTS Documentary Series」。世紀の一戦は選手だけのものではないという、スポーツニュースでは見えづらい真実を映し出している。

◆文=原田健
「THE DAY ~勝負の日~ J SPORTS Documentary Series」第2回より
「THE DAY ~勝負の日~ J SPORTS Documentary Series」第2回より / (C)NTT DOCOMO, INC.

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