外房大原の一つテンヤマダイ

外房大原の一つテンヤマダイ

テンヤを軽くして根掛かり軽減 合わせてもフッキングしない !?

実は1投目から根掛かりでテンヤをロストしてしまったのだ。

「南から入ってくるウネリに押され、北から吹く風に押されて、一つテンヤの定番であるパラシュートアンカーが効かないんだ。だから横流しの釣りになったけど、ちょっと海がガチャガチャしてたね……」

5号のテンヤを使いカーブフォールでマダイを狙っていたヨッシーだったが、テンヤの重さと船の動きにより根掛かりを回避できなかった。

6時45分、イチロウとトモキがマダイを釣り、タカハシゴーが安定のバラシを披露する中、スタートダッシュを切れなかったヨッシー。

しかし、ここからの修正は見事だった。

テンヤを3号に交換した。

5号だとカジメの間に入り込むなどして根掛かりしやすいからだ。

テンヤをキャストし、PEラインを水深と同じくらい送り出したらカーブフォールさせる。

「カツカツッと食ってきたけど、合わせてもなかなか乗らなかった。合わせる、乗らない、合わせる乗らない……そして3回目にようやくフッキングに持ち込めたよ」

ヨッシーと仲のいい若船長、山口大地さんのネットに収まったのは、1kgに届くかどうかの40cm級。

「よかったぁ。ホッとしたよ」とため息を吐いたヨッシーは、「今日は食いが浅いな……」とつぶやいた。

そして最後に付け加えた一言が、残念ながらこの日のすべてを的確に言い表していた。

「んっ……」と鋭く合わせたかと思えば「あれっ……?」と肩を落とすシーンが連発したのである。

イチロウが一つテンヤ専用竿ではなく汎用ルアーロッドのGSWを選んだのは、それまでの新幸丸の釣果情報を見てのことだった。

11日13~21枚。

14日4~14枚。

15日4~18枚。

17日8~13枚。

直前の19日こそ1~8枚と数を落としたものの、全般的にはツ抜けをイメージしてもおかしくない好調ぶりだ。

港を離れる前のイチロウは、「20枚ッスよ。20枚!」と目を輝かせていたが、直近の最良釣果しか目に入らない(入れない?)のは釣り人の業。

次のコメントを発したイチロウを、だれも責めることはできない。

「どっちみちアタリは多そうだから、何かちょっとトライしてみたくて」と、カーブフォール中のアタリの取りやすさを見込んでチューブラーティップのGSW-S63SULを選んだのだ。

だが、好事魔多し。

この日はアタリ自体が少なく、ヨッシーの言葉どおりの食いの浅さゆえにアタリも小さく、専用竿を使うヨッシーでさえ苦戦するような状況だった。

永遠の初心者・タカハシゴーももちろん苦戦していた。

船中ではポツポツとマダイが上がる中、なかなかアタリが取れない。

「ん~? もしかしたらなんか触ったかなあ……」と恐る恐る仕掛けを回収すると、エビエサの頭だけなくなっている。

マダイは、味噌が詰まったエビの頭部が大好きだ。

食い気が立っていれば身だけでも食ってくるが食いが浅い場合、頭を失ったエビエサは交換したほうがヒット率が上がる。

珍しくこまめにエサを付け替えたタカハシゴーだったが、それが功を奏し、彼としては珍しく釣り開始から1時間未満---6時20分に釣りが始まり、48分後の7時8分---には本命マダイをキャッチした。

が、彼のささやかな喜びの声はすぐに大歓声にかき消された。

タカハシゴーがようやくマダイを釣ったわずか2分後、船中で2.2kgの見事なマダイが上がったのである。

いる……!

やはりこの海には、中ダイもいれば、大ダイも潜んでいる……。

色めき立つ新幸丸。

直後にヨッシーの竿が大きく曲がる。

きたか……!?

緊張感が高まる。

しかしヨッシーは余裕の表情だ。

上がってきたのは20cmのキープサイズをギリギリ超えたかわいいマダイだった。

釣行の写真

1枚釣れてひと安心

一日たてば様子が一変する 前日のパターンが通用しない

6時20分の釣り開始から9時までの間、魚の反応はよかった。

大ベテランである山口新一船長の操船もあり、釣りにくい海況でもアタリが途切れない。

マダイはもちろん、4kgのヒラメ、メバル、カサゴなどが交じりながら、にぎやかな新幸丸である。

豊かな海を満喫する。

しかし、9時を過ぎるとスッとアタリが遠のいた。

適度にポイントを見切り、船を回す新一船長。

なかなかマダイが顔を出さない中、「はい、上げてください」というアナウンスで回収していたイチロウの竿がひん曲がった。

「大ダイ……ではないな、コレは」と言いつつも、ライトなタックルで豪快な引きを楽しむイチロウ。

上がってきたのは丸まるとしたワラサだった。

この日のイチロウは、なんとゲストだけで七目を達成した。

ショウサイフグ、カスザメ、アナハゼ、カサゴ、ササノハベラ、マハタ、そしてワラサ。

外房の海の豊かさを見せてくれたイチロウだったが、肝心の本命マダイは今イチ。

永遠の初心者・タカハシゴーにも及ばないという由々しき事態である。

「今日みたいにマダイのアタリが小さいと、やっぱり専用竿がよかったな……」と、大海原で後悔するイチロウである。

11時の沖揚がりを迎えたとき、二人の釣果は、専用竿を使うタカハシゴーがゲスト1尾、本命4枚。

汎用竿のイチロウは、ゲスト七目にもかかわらず、本命2枚である。

腕の差は歴然としている。

言うまでもなく、イチロウのほうがうまい。

ということは、これはタックルの差でしかない。

マダイのアタリが、いかに繊細で微小であるか。

そして食いが浅ければその傾向はますます強まり、専用竿がいかに有利かを示す事実であった。

トモキもマダイは4枚。

「根掛かりが怖くて、底を攻められませんでした。アタリも少なくて、『釣った』というより『釣れちゃった』という感じかな」と、不完全燃焼の様子だ。

さて、ヨッシーは船長が流し変えるたびにポツ、ポツとマダイを上げ、終わってみれば8枚の竿頭だ。

ヒデさんが7枚でこれに続く。

「水温が下がっちゃってさぁ。食いが浅かったねえ」と新一船長も天を仰ぐ難しい状況ではあったが、ジャッカル・プロスタッフの面目躍如である。

「テクニカルだったね」とヨッシーは振り返る。

「アタリを出すのも簡単ではなかったし、アタリを出してから掛けるのも手強かった。正直、パターンというようなパターンを見つけられるほどのアタリがなかったんだよね。潮と風のぶつかり合いで船が落ち着かず、カジメの根までテンヤを落とすとすぐに根掛かりしてしまう。だから軽めの3号にして、カーブフォールもカジメの上までにするようなイメージで釣ってたよ。いやぁ、難しかったね」

だがこれも、一つテンヤの魅力のひとつである。

一日たてば様子が変わり、前日までのパターンが通用しない。

臨機応変にその日の釣れる釣り方を見つけ出し、専用タックルの力を引き出しながら釣果を出す……。

竿頭のヨッシーは、これをやり切ったのだ。

昼の日差しをさんさんと浴びる港に戻った彼の表情は、結局は明るかった。

釣行の写真

釣行の写真

薄暗いうちは潮が流れて食いがよかった

釣行の写真

後半は潮が止まり食い渋る中、コンスタントにマダイを釣るヨッシー

配信元: FISHING JAPAN