健康診断の「血圧の上と下の差」で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「血圧の上と下の差」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
動脈硬化
動脈硬化とは、心臓から全身に血液を送る“動脈”という血管が、だんだんかたくなったり、内側がせまくなったりする病気です。原因の多くは、血管の壁にコレステロールなどの脂肪が少しずつたまり、こぶのようにふくらむことです。このこぶが大きくなると血液が流れにくくなり、最悪の場合、血管がつまってしまいます。つまる場所によって、心臓では心筋梗塞、脳では脳卒中など、命に関わる病気を引き起こすことがあります。
動脈硬化を防ぐには、まず生活習慣が大切です。野菜や魚をしっかり食べ、脂っこいものや甘いものをとりすぎないようにすること、毎日少しでも体を動かすこと、十分な睡眠をとること、そしてタバコを吸わないことが基本です。治療では、コレステロールや血圧を下げる薬、血液をサラサラにする薬を使うことがあります。また、血管がひどくせまくなり狭心症などを引き起こしてしまう場合には、カテーテルという細い管を使って血管を広げる治療を行うこともあります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症とは、首の前にある「甲状腺」という小さな臓器が、体のエネルギーを作る“ホルモン”を出しすぎてしまう病気です。ホルモンが多くなると、体がずっと全力ダッシュしているような状態になり、動悸(ドキドキ)、汗が多い、手のふるえ、暑がり、やせてしまう、疲れやすいなどの症状あらわれます。原因としては、免疫のトラブルで甲状腺が必要以上に働いてしまう「バセドウ病」がよく見られます。
治療は、甲状腺ホルモンを作りすぎないようにする薬を飲む方法が一般的です。ほかに、甲状腺の働きを弱める放射性ヨウ素治療や、手術で甲状腺の一部を取り除く方法が選ばれることもあります。
受診の目安としては、最近急に動悸がする、手がふるえる、体重が減る、暑くて眠れない、首のあたりがはれてきた、などの症状が続く場合です。早めに内科や甲状腺を専門とする病院に相談すると安心です。
心不全
心不全とは、心臓の力が弱くなって、全身に十分な血液を送れなくなる状態のことです。心臓が血液を送り出すためのポンプの力が落ちて、体に酸素や栄養が届きにくくなるため、息切れやむくみなどの症状が出ます。
主な原因としては以下のような心臓の病気があります。
心筋梗塞:心臓の血流障害により心臓の筋肉が弱る
高血圧:長く続くことで心臓に負担がかかる
弁膜症:心臓の内部を区切っているフタ(弁)の異常
不整脈:心臓を動かすための電気刺激の異常
などです。
治療では、心臓の負担を減らす薬、体の余分な水分を出す薬、心臓の働きを助ける薬などを使います。生活では、塩分をとりすぎない、生活習慣病をしっかり管理する、体重を毎日チェックする、適度な運動を続けることが大切です。
受診の目安は、動くとすぐ息が苦しくなる、横になると苦しくて眠れない、足や顔がむくむ、体重が急に増える、動悸が続くなどの症状が出たときです。早めに循環器内科に相談すると安心です。
大動脈弁閉鎖不全症
心臓の出口にある「大動脈弁」がしっかり閉まらず、心臓から送り出した血液の一部が逆流してしまう病気です。逆流が続くと、心臓は多くの血液を送り出そうとしてがんばりすぎ、だんだん疲れて大きくふくらんでしまいます。これが進むと心不全の原因になります。
原因には、動脈硬化や高血圧、加齢変化、生まれつき弁の形が通常と違う場合、感染症(心内膜炎)による弁の変化などがあります。
治療は、症状が軽いときは経過観察や血圧を下げる薬を使うことが多いです。逆流が強くなったり、心臓が疲れてきたりしたら、心不全症状に対する薬を使用したり、重症になる場合には弁を人工弁に取り替える手術を行います。
受診の目安は、動くと息切れする、動悸がする、胸の不快感、むくみ、疲れやすさなどの症状が続くときです。健診で心雑音を指摘された場合も、循環器内科でのチェックがおすすめです。
血圧の上と下の差が小さいときの正しい対処法・改善法は?
脈圧が過度に小さい・40mm未満のときの主な原因・病気
脈圧が小さい(上の血圧と下の血圧の差が狭い)ときは、心臓が血液を全身に送り出す力が弱まっている可能性があります。
心不全:心臓のポンプ機能が低下し、上の血圧が十分に上がらなくなるため、差が小さくなります。息切れやむくみ、体重増加などを伴う場合は注意が必要です。
大動脈弁狭窄症:心臓の出口である大動脈の付け根のフタ(弁)が硬くなって開きにくくなる病気です。動いたときに胸の苦しさ、息切れなどが出現する際には注意が必要です。
寒さ:寒い場所では末梢の血管が縮まり、脈圧が狭くなることがあります。
測定ミス:腕の太さに合わないカフ(腕帯)を使っている場合など、正しく測れていないこともあります。
脈圧が小さいときの対処法・改善法は
まず、血圧計の腕帯(カフ)のサイズが合っているか、正しく巻けているかを確認して測り直してください。寒さで血管が縮こまっている場合もあります。 それでも上の血圧と下の血圧の差が小さい状態が続くなら、心臓が血液を送り出す力が弱まっている「心不全」や、弁の病気の可能性があります。特に、動くと息切れがする、足がむくむなどの症状がある場合は、早めに病院で心臓の検査を受けることをおすすめします。

