難聴と上手につきあうために
編集部
専門的なサポートとはどのようなものですか?
小川先生
単に補聴器を装用するだけではなく、補聴器装用による聴覚トレーニングが重要です。難聴による認知機能低下を防ぐためには三位一体の対応が必要とされています。それは第一に、難聴の的確な診断、次に、補聴器装用が必要とされたらすぐに補聴器適合をおこなうこと、そして第三がこの聴覚トレーニングです。最初は7割程度の音量からスタートし、おおむね3カ月を目安にして、言葉の聞き取りを最大限活かせるようにしていきます。
編集部
では、補聴器以外にできる工夫はありますか?
小川先生
会話の際に相手の口元を見たり、静かな環境で会話したりするだけでも聞き取りやすさは変わります。また、耳の健康を保つために定期的に耳鼻咽喉科を受診し、耳垢の除去や中耳の状態をチェックしておくことも大切です。一度受診して「今はまだ補聴器は必要ない」と言われた場合でも、定期的な検査は続けることをおすすめします。
編集部
ほかに、聞こえにくさに悩む人やその家族が知っておいたほうがよいことはありますか?
小川先生
聞こえにくさを感じている人に話しかけるときは、正面から声をかけたり、少しゆっくりめに話したり、口をしっかり開けて発音したりといった工夫が大切です。補聴器を装用した後は「だいぶ聞こえるようになったね」と声をかけるなど、前向きな言葉でサポートしてあげるとよいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
小川先生
団塊の世代が「後期高齢者」となり、数年後には100歳以上が10万人、さらに25年後には40万人に達すると言われており、まさに「人生100年時代」です。年齢を重ねても、自分の目で見たり、耳で聞いたり、足で歩いたりして、豊かに過ごしていけることが大切です。補聴器は、導入後のリハビリテーションも欠かせません。自宅でできるリハビリテーションとして、私がおすすめしているのが「音読」です。補聴器を装用した状態で声を出して文章を読むことで、耳と脳を一緒にトレーニングできます。一人暮らしの人でも日常的に実践できる方法です。
編集部まとめ
難聴は「年のせい」と放置しがちですが、認知症やうつのリスクを高める重大な要因です。補聴器をはじめとする適切なサポートを取り入れることで、生活の質や人とのつながりを守ることができます。聞こえに不安を感じたら、早めに専門医に相談してみてください。
参考文献
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト

