再会した母は、かつての派手さは消え、穏やかなおばあさんとなっていた。育児に限界を感じていたサツキは、謝罪し寄り添う母を拒みきれず、父に内緒で交流を始める。母の助けに救われる一方、背徳感に苛まれていく。
偶然、母と遭遇してしまった
母との再会は、偶然でした。スーパーのレジで並んでいる時、少し枯れた声が耳に飛び込んできたのです。
「サツキ……?」
そこにいたのは、派手だった面影は消え、どこにでもいる「おばあちゃん」のような姿の母でした。
母は、私の人生を一度めちゃくちゃにした人です。 離婚した後も、「会いに来た」と言っては家に入り込み、私がコツコツ貯めていた30万円の貯金箱を盗んでいきました。父が生活費として置いていた封筒も、いつの間にかなくなっていました。「お金を貸して」という電話。返ってくることのない嘘。それが母のイメージでした。
母親の涙に情が動いてしまった
「サツキ、あの時は本当に……」
俯く母の姿を見ても、私は冷ややかな気持ちでした。
「今さら何?お父さんがどれだけ苦労したか、わかってるの?」
そう言い捨てて立ち去るつもりでした。でも、その時、和人が母のスカートの裾を掴んだのです。
「だれ~?」
和人の無垢な瞳を見て、母の目から涙が溢れました。
「……一度だけでいいから、謝らせてほしいの」
そう言われて、つい連絡先を交換してしまったのが運命の分かれ道でした。

