穏やかになった母につい頼ってしまう
母は今、子どものいない男性と再婚し、慎ましく暮らしているようでした。年齢を重ねたせいか、かつてのギャンブル狂の面影はなく、驚くほど穏やかになっていました。ちょうどそのころ、私は初めての育児に疲れ果て、軽度の育児ノイローゼ気味でした。夫のオサムは優しいけれど、仕事が忙しく、孤独な時間が長かったのです。
「サツキ、今日は私が和人を預かるから、少し寝なさい。夕飯も作っておくわ」
週に一度、母が家に来てくれるようになりました。母の手料理は、記憶の中にある味よりもずっと優しくて。和人も「ばあば、大好き!」と懐いています。
でも、母を頼れば頼るほど、私の心は黒い罪悪感に塗りつぶされていきました。
もし、あの父がこの事実を知ったら「裏切り者」と言うでしょう。父の怒鳴り声が脳裏に響き、私は夜、1人で震えることしかできませんでした―――。
あとがき:許しと裏切りの間で揺れる孤独
かつて自分の貯金箱を盗んだ母を、育児の辛さから頼ってしまう。この矛盾は、決してサツキが弱いからではありません。誰にも頼れない「孤育て」の極限状態が、彼女を禁断の再会へと向かわせたのです。
手料理の温かさに涙する一方で、脳裏をよぎる父の怒鳴り声。救いであるはずの母の存在が、新たな罪悪感という猛毒を生んでいく過程に、同じ母親として胸が痛むエピソードです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

