自宅介護で誤嚥性肺炎にならないために|症状・リスクや予防のポイント、対処法も解説

自宅介護で誤嚥性肺炎にならないために|症状・リスクや予防のポイント、対処法も解説

自宅介護をしている方にとって、誤嚥性肺炎は決して他人ごとではありません。誤嚥性肺炎は高齢の方で多くみられ、気付かないうちに発症し進行することがあります。一方で、重症化すると命に関わるリスクがある疾患です。このため、日々のケアや工夫で予防することが重要です。この記事では、誤嚥性肺炎の基本的な知識から、リスク因子、予防のための工夫、兆候と対応方法、そして治療法などを解説します。

江口 瑠衣子

監修医師:
江口 瑠衣子(医師)

2009年長崎大学医学部卒業。大学病院での初期臨床研修終了後、10年以上にわたり地域の基幹病院で腎臓内科の診療に従事。患者さん一人ひとりに寄り添った医療を心がけており、現在は内科・精神科の診療を行っている。腎臓専門医。総合内科専門医。

誤嚥性肺炎の基礎知識

誤嚥性肺炎の基礎知識

誤嚥(ごえん)性肺炎の基礎知識を押さえることは、日常のケアや予防を行ううえで必要です。ここでは、誤嚥とはどういうことか、肺炎のメカニズムや症状などを解説します。

誤嚥とは

お口の中に入った食べ物や飲み物は、のど(咽頭)から食道を通り、胃へと運ばれます。この一連の流れを嚥下(えんげ)と呼びます。何らかの原因によって嚥下がうまくいかず、食べ物や飲み物が誤って気管の方に入ってしまうことを誤嚥といいます。

誤嚥性肺炎が起こるメカニズム

誤嚥によって、お口の中に存在する細菌が唾液や飲食物とともに肺に入り込むと、誤嚥性肺炎が引き起こされます。ただし、誤嚥したからといって必ずしも肺炎を発症するわけではありません。高齢の方など免疫力が低下した方は、発症のリスクが高いといえます。

誤嚥性肺炎の症状

誤嚥性肺炎の症状で代表的なものは、発熱、咳、痰です。しかし、食欲が落ちている、なんとなく活気がない、など明らかな症状がみられないこともあります。ほかにも、のどがゴロゴロと音を立てる、傾眠傾向(眠そうにしている)、ぼんやりしている、など普段と様子が違う場合は誤嚥性肺炎の可能性があります。

誤嚥性肺炎の経過

誤嚥性肺炎を発症すると、発熱や咳、全身の倦怠感などの症状が出現します。病状が進むにつれて高熱や、激しい咳、膿性の痰などがみられるようになります。高齢の方や持病を持つ方では、急速に呼吸状態が悪化し、重症化するケースも少なくありません。また、食事が摂れなくなり、脱水や低栄養となる場合もあります。一方で、高齢の方では典型的な症状が現れにくいこともあります。

医療機関での治療によって改善しても、誤嚥性肺炎は再発しやすい病気です。肺炎によって体力や嚥下機能がさらに低下すると、誤嚥を繰り返しやすくなり、再発のリスクが高まるという悪循環に陥ることがあります。

自宅介護で誤嚥性肺炎を引き起こすリスク因子

自宅介護で誤嚥性肺炎を引き起こすリスク因子

自宅介護で誤嚥性肺炎を引き起こすリスク因子はさまざまです。ここでは、具体的にそれぞれのリスク因子を解説します。

認知症や脳血管障害、意識障害など

誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があるものには、認知症や脳血管障害、意識障害などがあります。認知症は進行すると、食べ物を認識し、口に入れ、飲み込むという一連の動作の協調性が失われます。食べ物や水分を口に入れても飲み込まずにため込んでしまったり、嚥下に必要な動作のタイミングがずれたりすることで、誤嚥のリスクが高まります。

また、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の後遺症がある場合、喉や舌の筋肉を動かす神経がダメージを受け、嚥下機能が低下することがあります。

このほか、意識障害がある場合も誤嚥を起こしやすくなります。咳反射や嚥下反射が低下したり、認知や注意の機能が低下したりするためです。これらの疾患を持つ方は、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。

口腔内の不衛生

お口の中(口腔)の不衛生も、誤嚥性肺炎の大きなリスク因子です。歯磨きや入れ歯の手入れが不十分だと、舌や歯垢に細菌が大量に繁殖します。特に歯周病がある場合は、口腔内の細菌数がさらに増加します。口腔内が清潔に保たれていないと、肺炎の原因となる細菌がより多くなり、その結果肺炎を発症しやすくなります。また、義歯の手入れが不十分な場合も、義歯に細菌が付着・増殖しやすくなり、誤嚥性肺炎のリスクを高めます。

嚥下障害

嚥下障害とは、食べ物や飲み物を飲み込む嚥下の機能が低下した状態を指します。嚥下障害をひきおこす基礎疾患にはさまざまなものがあります。脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、神経・筋疾患(パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症など)のほかに、頭頚部がんや重度の認知症でも嚥下機能が低下することがあります。

咽頭・食道のがんによる狭窄、頭頸部の外傷や手術後の構造の変化も挙げられます。これらの原因により、嚥下障害があると誤嚥しやすくなり、その結果、肺炎を発症するリスクが高まります。

低栄養状態・サルコペニア

低栄養状態やサルコペニアも誤嚥性肺炎のリスク因子として重要です。サルコペニアとは筋肉の量が減少し、それに伴って筋力や身体機能が低下した状態のことです。加齢による自然な変化のひとつとして起こることが多く、高齢の方でよくみられます。

栄養状態が悪いと感染に対する抵抗力が低下し、肺炎を発症しやすくなります。また、サルコペニアは、嚥下に関わる筋肉や、咳をするための筋肉の衰えにつながります。低栄養状態はサルコペニアを進行させ、嚥下に関わる筋力が落ちてさらに食べられなくなるという悪循環に陥ることがあります。

その他のリスク因子

そのほかにも誤嚥性肺炎のリスク因子は複数挙げられます。例えば、寝たきりの状態が続いている方は、リスクが高くなります。重力により食物や唾液が気管方向に流れ込みやすく、さらに筋力低下や反射機能の低下が重なることで誤嚥しやすくなるためです。また、胃酸が逆流する逆流性食道炎がある場合も、誤嚥のリスクが高まります。さらに、特定の薬剤の服用も誤嚥につながる可能性があります。鎮静作用のある薬や睡眠薬などは、意識レベルを下げたり、咳反射や嚥下反射を鈍らせたりすることがあります。これらの誤嚥をしやすい要因によって誤嚥性肺炎発症の可能性が高まります。

配信元: Medical DOC

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