
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「COMICリュエル」で連載中の『特別じゃない日』(実業之日本社刊)の1エピソード『おばあちゃんのレシピ』を紹介する。作者の稲空穂さんが、11月27日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、3.4万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、稲空穂さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■遊園地を楽しみにしていたが父親の仕事で急遽行けなくなる

遊園地に行けることを楽しみにしていた純加だったが、父親の急な仕事により行けなくなってしまう。純加は遊園地に行けなかった代わりに、おばあちゃんちに行くことに。遊園地の雑誌に載っている売店の食べ物を見ながらおばあちゃんが「どれが食べたいの?」と聞くと、「…チュロス!」と答える純加。
その後、干し芋を使って2人でチュロスを作っていると、おばあちゃんは「お父さんもこれで元気出してくれるといいわね」と言う。その言葉に純加は「お父さん元気ないの?」とおばあちゃんに尋ね…。
このエピソードを読んだ人たちからは、「涙が出てきた」「すごくいいおばあちゃん」「心が温かくなった」「読み終わるのがさびしくなる」など、多くのコメントが寄せられている。
■作者・稲空穂さん「家庭の数だけ、「おやつ」と呼ばれるオリジナルのメニューがあるのではないか」

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
『おばあちゃんのレシピ』は、『特別じゃない日』第6弾のテーマが「おやつ」に決まった際、すでに登場していた女子高生の「純加」と、その祖母である「絹」を中心にお話を描きたいと考えたことから生まれた作品です。私自身、小学生の頃は両親が共働きだったため、学校から帰ると祖父母の家で過ごしておりました。祖父母はお弁当屋を営んでおり、そこで出される「おやつ」は甘いものではなく、お惣菜がほとんどでした。
それでも私にとっては、やはりそれが「おやつ」でした。家庭の数だけ、「おやつ」と呼ばれるオリジナルのメニューがあるのではないかと感じ、そこから物語を膨らませていきました。
――本作では、干し芋やカルメ焼きなど、懐かしいお菓子が出てきますが、稲空穂さんご自身の思い出のお菓子やレシピがありましたらお教えください。
思い出のお菓子は、母がホットケーキミックスで作ってくれたドーナツです。生地をお玉やお匙ですくい、揚げ油に入れてきつね色になるまで揚げていたため、きれいなドーナツ型ではなく、さまざまな形をした丸いドーナツでした。それでも、揚げたての味がとてもおいしく、今でも印象に残っています。思い出し、懐かしくてもう一度食べたいと母に聞いてみたのですが、母はすっかり忘れてしまっており、残念ながら失われたレシピとなってしまいました笑。
――本作の中で特に気に入っているエピソードがあれば、理由と共にお教えください。
ベトナム人留学生のダンくんのお話『サトゴコロ』でしょうか。お話を制作するにあたり、ベトナム料理店を取材させていただき、ベトナムの文化や料理、おやつについてお話を伺うことができました。初めて口にしたベトナム料理はどれもおいしく、作中に登場するホットチェーも、実際に自分で作って味見をした際のおいしさが今でも忘れられません。また、日本で暮らす外国の方々についても多くのことを知ることができ、さまざまな経験や知識を得られた、思い出深く大切な1話です。
――稲空穂さんの作品は、どこかホッとする優しいタッチで描かれているように感じます。幅広い世代を描く際に気をつけている点や、時間をかけているパーツはありますか?
ありがとうございます。私はもともと、ご年配の方のお顔を描くことがとても好きです。よく笑う方や怒りっぽい方など、それぞれの性格がしわの表情として表現できていればと思っております。特に気を付けて描いている点としては、同一の登場人物について、若い頃の姿と年齢を重ねた後の姿のどちらからも、その人自身が過ごしてきた時間を感じていただけるよう心掛けています。
――今後挑戦してみたいジャンルやテーマがありましたら、お教えください。
現在は、『特別じゃない日』の世界を、さらに広げていけたらと考えております…!私自身、ここまで長く続けられるとは思っておらず、『特別じゃない日』の世界が少しずつ広がっていく感覚に、各話ごとに新しいジャンルへ挑戦しているようで、毎回ドキドキしております。今後『特別じゃない日』のテーマとして取り上げてみたいものは、第4弾の「映画」と同様に、私の生活から切り離せない「本」などのエンタメジャンルや、食べることが好きということもあり、「食」をテーマにしたお話を、また描いてみたいと考えています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも『特別じゃない日』を応援していただきありがとうございます。『特別じゃない日』は、読んでくださった方が、ご自身の大切な人やこれまでの経験を思い出すきっかけとなる作品になれたらとの思いを込めて描いています。第6弾となり、多くのお話が生まれましたが、お好きな1話を見つけていただけましたら、とても嬉しく思います。これからも『特別じゃない日』の世界を見守って頂けたら幸いです。

