
監修医師:
渡邊 雄介(医師)
所属
国際医療福祉大学教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長
唾液腺腫瘍の概要
唾液腺腫瘍は、唾液を分泌する唾液腺に発生する腫瘍です。
唾液腺は大唾液腺と小唾液腺に分類され、大唾液腺には顎下腺(がっかせん)、耳下腺(じかせん)、舌下腺(ぜっかせん)が含まれます。
腫瘍の発生部位は主に顎下腺と耳下腺で、唾液腺腫瘍の約9割を占めています。
唾液腺腫瘍には良性と悪性があり、良性が多いとされています。
良性腫瘍には多形腺腫(たけいせんしゅ)やワルチン腫瘍、基底細胞腺腫(きていさいぼうせんしゅ)などの腫瘍があり、特に多形腺腫は再発率が高く、悪性化する可能性があることが知られています。
悪性腫瘍は、多形腺腫由来がん、腺がん、腺様嚢胞がんなどの腫瘍があります。
頭頸部がん全体の約5%を占めており、高齢者に多く見られる傾向があります。
舌下腺に腫瘍が生じた場合は、良性よりも悪性の割合が高いことがわかっています。
(出典:公益社団法人 日本口腔外科学会 口腔外科相談室「唾液腺の疾患」)
(出典:特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会「唾液腺がん」)
症状としては多くの場合、無痛性のしこりとして自覚されます。
しこりは時間の経過とともに徐々に大きくなることがあります。周りの神経を圧迫して痛みやしびれ、運動麻痺などの症状が現れるような場合には、悪性腫瘍の疑いが強まります。
診断には主に病理学的検査が用いられ、腫瘍に細い針を刺して細胞を吸引する「穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)」がおこなわれます。
また、超音波検査やMRI検査、PET検査などの画像診断を併用し、腫瘍の広がりや転移の有無も確認します。
主な治療方法は外科的手術による腫瘍の全摘出です。
腫瘍の大きさや位置によっては、摘出範囲が広くなる場合があり、その際は体のほかの部位から皮膚を移植することもあります。
悪性腫瘍の場合は、手術後の補助療法として、放射線治療や分子標的薬などの薬物療法をおこなうこともあります。

唾液腺腫瘍の原因
唾液腺腫瘍の明確な原因は現在のところ特定されていません。
悪性腫瘍の場合は、発がん性物質への暴露、放射線への被爆、喫煙習慣などが発症リスクを高める可能性があると考えられています。

