高齢者の急性骨髄性白血病は、治療成績が低下することをご存知ですか?
白血病は血液のがんで、どれだけ強力な化学療法を行えるかが治療成績を大きく左右します。
高齢者はさまざまな要因で強力化学療法を行えないため、若年者に比べて治りにくいケースが少なくありません。
本記事では、高齢者の急性骨髄性白血病の特徴・治療方法・生存率などを解説します。
がんの予防だけでなく、がんの早期治療につなげる参考になれば幸いです。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
急性骨髄性白血病とは?
急性骨髄性白血病(AML)は、血球を作る細胞ががん化して、異常な白血病細胞が増殖してしまう血液のがんです。白血病はがん化した白血病細胞の由来によって骨髄性とリンパ性に分けられ、症状の進行が急性か慢性かでも分類されているのです。
急性骨髄性白血病は、骨髄由来の白血病細胞が急速に増加して症状が進行します。その症状と原因、検査方法などを解説します。
症状
急性骨髄性白血病では、異常な白血病細胞が増殖することにより、正常な血球が減少してしまいます。正常な血球の減少による症状が急速に進行するのが特徴で、主な症状は以下の3つです。
赤血球の減少により貧血になる
血小板の減少により出血しやすくなる
白血球の減少により感染症にかかりやすくなる
貧血による動悸・息切れ・立ち眩みなどの症状がひどくなり、急性骨髄性白血病が発見されるケースも少なくありません。鼻血が出やすくなったり、小さな傷からの出血が止まりにくかったりなどの症状も注意が必要です。
原因
白血病は、特定の化学物質の曝露や放射線被ばく・ウイルス感染・遺伝子の異常などの原因が明らかな場合を除き、原因がわからないケースがほとんどです。
特に、AMLは染色体・遺伝子異常の種類によって予後良好群・予後中間群・予後不良群の3つに分けられ、それらにより治療法が異なってきます。
米国の調査では、急性骨髄性白血病患者さんの年齢中央値は67歳であり、加齢もリスク因子のひとつです。
検査方法
急性骨髄性白血病の診断に必要な検査は、血液検査と骨髄検査です。骨髄検査では、穿刺と呼ばれる針を胸骨か腸骨に刺して骨髄液を採取します。採取した検体を顕微鏡検査・染色体検査・表面マーカー検査・遺伝子検査などで白血病細胞を特定していきます。
急性骨髄性白血病の高齢者治療が難しい原因
急性骨髄性白血病の治療成績は、若年者に比べて高齢者では低下する傾向があります。白血病は血液のがんであるため、大腸がんや肺がんのように手術で腫瘍を切り取ることはできません。
抗がん剤による化学療法が基本となるため、患者さんが抗がん剤治療に耐えられるかどうかが、治療方針と予後を大きく左右します。高齢者の場合は、以下のような理由により抗がん剤治療が難しくなる場合があります。
合併症のあるケースが多いため
臓器の機能低下のため
骨髄異形成症候群の要素を併せ持つことが多いため
それぞれの内容を解説します。
合併症のあるケースが多いため
化学療法で用いられる抗がん剤は、がん細胞と一緒に正常な細胞も殺してしまうため、副作用が強く現れます。白血病では正常な白血球が減少しており、化学療法でさらに減少すると、感染症のリスクが極めて高くなります。
高齢者では感染症の合併によって、危険な状態となることも少なくありません。免疫機能を保つのが難しいと判断された場合は、強力な化学療法はできなくなります。
臓器の機能低下のため
強力な化学療法は臓器にもダメージを与えるため、臓器の機能が低下している高齢者では適応になりません。化学療法の副作用で肝機能障害や腎機能障害を起こすこともあるため、すでに臓器の機能低下が見られる患者さんでは、低強度で緩和的な治療が選択されます。
骨髄異形成症候群の要素を併せ持つことが多いため
骨髄異形成症候群とは、血球を作る骨髄の造血幹細胞に異常が生じる病気です。高齢者の急性骨髄性白血病では、骨髄異形成症候群と合併しているケースが少なくありません。
どちらも血球を作る細胞の異常ですが、骨髄異形成症候群はがんではないため抗がん剤は効きません。症状を緩和しながら、生活の質を保つ治療を続けていくことになります。

