「冷たいものを口に含むと歯がしみる」という状態は、知覚過敏かもしれません。痛みを感じることが嫌でブラッシングやうがいを敬遠してしまうと、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
また最初は知覚過敏で軽症だと油断して放っておくとだんだん痛みが増してきて、結局は虫歯にかかってしまっていたということも。
この記事では、知覚過敏の治療法や虫歯との見分け方について詳しく見ていきます。
※この記事はメディカルドックにて『「知覚過敏」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
知覚過敏の治療法や虫歯との見分け方

知覚過敏ではどのような治療が行われますか?
知覚過敏の進行状況に合わせて適切な治療法を選択します。治療には症状が軽い患者様がご自分で行う治療と歯科医院で行う治療があります。自分で行う治療
硝酸カリウム等、歯髄神経の興奮を抑える有効成分が配合された歯磨剤でブラッシング
プラークコントロールによる虫歯や歯周病予防で象牙質の露出を防ぐ
歯科医院での治療
薬剤やレーザーを当てて象牙細管内組織液を凝固させる
シュウ酸カリウムやレジンなどを塗布して象牙質細管を塞ぐ
激しい痛みが長く続くようなら神経を抜いてしまう
知覚過敏と虫歯の見分け方が知りたいです
先述したように、知覚過敏と虫歯では痛みの感じ方が異なるため虫歯が進行している場合には分かりやすいですが、痛みがひどくなる前に見分けておきましょう。虫歯の場合、歯の一部が黒っぽく変色していたり表面に穴が開いていたりすることを確認できます。知覚過敏の場合、かみ合わせ部分などのエナメル質が溶けて象牙質が露出し黄色っぽく変色していたり、歯ぐきを見ると歯肉が退縮していたりすることが確認できます。虫歯は象牙質までの進行であれば痛みを感じない場合も多いですが、激烈な痛みを感じるのは多くの場合その奥の歯髄にまで達してからです。歯を大きく削ることや、最悪の場合には抜歯ということにもなりかねませんので、痛みがひどくなる前に早めに歯科医院で診てもらうことをおすすめいたします。
知覚過敏の治療中はどのような事に気をつけたら良いですか?
治療において象牙質を覆ったコーティングが再び取れないように気を付けてください。適度なブラッシングを心がけ、炭酸飲料や酸っぱい食べ物などの飲食は極力避けてください。また、ブラッシングで痛みを感じる患部を避けると虫歯菌の住処であるプラークが除去できない、歯と歯ぐきの間の詰まり物が取り切れないといったことになります。その結果、虫歯や歯周病が進行してしまうといった本末転倒なことにならないように気をつけたいものです。そのため、歯科医院で歯のプロである歯科医や歯科助手から適切なお口のケアについてもあらかじめアドバイスを受けておきましょう。
知覚過敏の予防方法などあれば教えてください。
象牙質を覆っているエナメル質の消失や、歯肉の退縮が起きる原因となる行為をできるだけ避けるということです。具体的には下記のようなことです。適切なブラッシングを心がける
エナメル質を溶かす炭酸飲料や虫歯菌の栄養の基となる甘い食べ物の摂取を減らす
歯周病の原因となるプラークが付着しないようブラッシングをこまめに行う
細菌の増殖源となる甘いものはできるだけ控える
つまり既にお気付きかもしれませんが、歯周病や虫歯予防に有効な予防法は知覚過敏に対しても有効となります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
知覚過敏は他の疾患に比べて症状が軽く、若い内は自然に治癒することも多いため、そのまま放置してしまう方も多いのが実情です。ただ、虫歯等との違いがよくわからなかったり痛みを感じてお口のケアが疎かになったりすることで、気が付いたら虫歯等が重症化していたりする場合もあります。重症化してから歯科医院にかかると治療に長い時間と高い治療代を支払うことになります。知覚過敏はあなたの歯が教えてくれるSOSのサインです。痛いと感じたら早めに歯科医院で診てもらいましょう。
編集部まとめ

症状が軽いと歯科医院で診てもらうのを敬遠しがちです。しかし、知覚過敏になったということはあなたの歯に何らかの異変が起きていることは間違いありません。
知覚過敏なのか、あるいはもっと重篤な疾患かは自分では見分けがつきにくいものです。症状を我流で判断すると、取り返しのつかないことになるかもしれません。
痛みを感じたらまずは歯科医院に相談しましょう。適切なブラッシングについてもしっかり教わり、毎日のお口のケアに十分気をつけてください。
参考文献
歯の痛みの原因(日本大学松戸医学部付属病院)

