乳がんのステージは、がんの進行度を客観的に示すための指標であり、治療方針の決定や予後の予測に重要な役割を果たします。ステージは主にTNM分類と呼ばれる国際的な基準に基づいて決定されます。この分類により、腫瘍の大きさ、リンパ節への転移状況、遠隔臓器への広がりを総合的に評価し、ステージ0から4までに分けられます。本章では、TNM分類の見方とステージごとの基本的な特徴について解説します。

監修医師:
尾崎 章彦(医師)
平成22年3月東京大学医学部医学科卒業
平成22年4月国保旭中央病院初期研修プログラム
平成24年4月竹田綜合病院 外科
平成26年10月南相馬市立総合病院外科 外科
平成30年1月大町病院 外科
平成30年7月ときわ会常磐病院(福島県いわき市) 乳腺外科
【資格】
専門:外科学、乳腺腫瘍学、災害医学、利益相反、医学教育
日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 専門医
日本乳癌学会 乳腺専門医
検診マンモグラフィ読影認定
乳房超音波読影認定
乳がんのステージ分類の基本
乳がんのステージは、がんの進行度を示す指標であり、治療方針の決定や予後の予測に重要な役割を果たします。ステージは主にTNM分類と呼ばれる国際的な基準に基づいて決定されます。
TNM分類の見方
TNM分類は腫瘍(Tumor)、リンパ節(Node)、遠隔転移(Metastasis)の3つの要素から構成されます。Tは原発腫瘍の大きさと広がりを示し、T0からT4まで分類されます。T1は2cm以下、T2は2cmを超えて5cm以下、T3は5cmを超える腫瘍、T4は大きさにかかわらず胸壁や皮膚に浸潤している状態を指します。
Nはリンパ節転移の有無と程度を表し、N0は転移なし、N1からN3は転移の範囲や個数に応じて分類されます。Mは遠隔転移の有無を示し、M0は転移なし、M1はほかの臓器への転移がある状態です。これらを組み合わせることで、ステージ0からステージ4までの病期が決定されます。実際の診療では、これらの情報に加えてがんのサブタイプや悪性度なども考慮して、より詳細な治療計画が立てられます。
ステージごとの基本的な特徴
ステージ0は非浸潤がんと呼ばれ、がん細胞が乳管や小葉の中にとどまっている状態です。この段階では適切な治療により良好な予後が期待できます。ステージ1と2は早期乳がんに分類され、腫瘍が比較的小さく、リンパ節転移がないか限定的な状態です。
ステージ3は局所進行がんと呼ばれ、腫瘍が大きいか、リンパ節転移が広範囲に及んでいる状態を指します。ステージ4は遠隔転移を伴う進行がんで、肺、肝臓、骨などのほかの臓器にがんが広がっている状態です。ステージが進むにつれて治療は複雑になり、複数の治療法を組み合わせる必要性が高まります。ただし、ステージだけで治療方針が決まるわけではなく、がんの生物学的特性や患者さんの状態も重要な判断材料となります。
まとめ
乳がんの治療は、がんそのものへの対処だけでなく、身体機能や外見、心理面など多面的なケアが必要となります。ステージに応じた適切な治療選択により、生存率は着実に向上しています。治療による見た目の変化は避けられない場合もありますが、再建やアピアランスケアなどの対策により、患者さんの生活の質を保つことが期待できます。気になる症状があれば早期に専門の医師を受診し、個別化された治療計画を立てることが大切です。医療チームと十分に相談しながら、自分に合った治療とケアを選択していきましょう。
参考文献
国立がん研究センターがん情報サービス「乳がん」
日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」
厚生労働省「がん対策情報」

