脂質を過剰摂取すると現れる症状

肥満・生活習慣病
エネルギーの摂りすぎや運動不足によって消費されない余剰分は、中性脂肪として体に蓄積、体脂肪となり、肥満や生活習慣病のリスクを高めるといわれています。また、高脂肪食と一部のがん(大腸がん、乳がん、前立腺がんなど)との関連が報告されていますが、発症には食生活全体や運動習慣、遺伝など複数の要因が関与すると考えられています。
令和5年(2023年)国民健康・栄養調査(厚生労働省)の結果によると、脂肪エネルギー比率が30%を超えている人の割合は、20歳以上の男性で約37.4%、女性で約46.4%でした。飽和脂肪酸の摂取量の推定でも、総エネルギー摂取量の約8.2%と、18歳以上の男女に定められている飽和脂肪酸の目標量7%よりも超える量でした。
脂質異常症
脂質異常症は、血液中に中性脂肪やコレステロールが増え過ぎた状態で、放置しておくと動脈硬化や心臓病に進行してしまいます。主な原因は、食べ過ぎや不摂生、運動不足などの生活習慣にあります。食べ過ぎの食生活が続くと、コレステロール合成が促進され、中性脂肪の増加、大切なHDLコレステロールが減少してしまいます。また女性は、更年期になるとエストロゲンという女性ホルモンが減少することによってコレステロール値が高くなります。甘いものの食べ過ぎやお酒の飲みすぎも中性脂肪の合成を促す要因となります。
過剰摂取に注意
飽和脂肪酸を摂りすぎない
コレステロールの多い食品は控える
食物繊維をたっぷりとる
動脈硬化
悪玉といわれるLDLコレステロールが血液中に増えると、酸化LDLとなって血管壁に溜まり動脈硬化を引き起こします。血管の老化といわれ、なってしまうと元の状態には戻りません。進行をストップできる食生活が緊急の課題といわれています !!
毎日の食事を改善することで予防することができるため、食べ過ぎや塩分、脂肪やコレステロールの摂りすぎに注意し、n3系脂肪酸の多い青魚を積極的に食べましょう。
食事:イワシ、アジ、サンマの青魚、納豆などには、血栓を防ぐ働きがあります。
運動:適度な運動で中性脂肪が減り、善玉のHDLコレステロールが増えます。
禁煙:喫煙は血管を傷つけ、中性脂肪や悪玉のLDLコレステロールを増やすため、禁煙することが重要です。
脂質の効率的な摂取方法

良質の油を積極的にとりましょう
一価不飽和脂肪酸のオレイン酸には、善玉といわれるHDLコレステロールを下げずに総コレステロールを下げる働きがあり、動脈硬化を予防するとして注目されています。強力な抗酸化物質(ポリフェノール)が体内で酸化しにくい性質があり、有害な過酸化脂質をつくりにくいのが特徴です。心血管疾患や生活習慣病の予防に大きく貢献しています。地中海周辺の国々で心疾患による死亡率が低いのは、オレイン酸の多いオリーブ油を使っているためといわれています。
オリーブオイルは熱に強いため、炒め物や揚げ物にも適していますが、煙が出るほどの高温では劣化につながるため高温や長時間調理は避けましょう。
脂質の吸収を抑える!
水溶性食物繊維を多く含む野菜や海藻、きのこ類などを先に食べる「ベジファースト」にすることで、脂質やコレステロールの吸収を緩やかにし、体外へ排出してくれる効果、また血液中のLDLコレステロールを減らす効果もあります。
調理方法の工夫!
ダイエットや減量などで脂質制限が必要な場合、調理を工夫することで脂質量を少なくすることができます。油脂を多く使う揚げ物、炒め物を、蒸し物、煮物、茹で物、焼き物に変更し、さらに網焼きにすることで食材そのもののあぶらも落とすことができます。肉類は脂身の少ないヒレや赤身、皮なしのものを選びましょう。魚類は白身魚やDHA・EPAが豊富な青魚、貝や甲殻類などもおすすめです。マヨネーズやドレッシングの調味料はノンオイルのもの、スパイスと果汁や柑橘エキスなどで代用すると、さっぱりとおいしくいただけます。また、生姜やにんにく、大葉などの薬味を活用すると物足りなさをカバーすることもできるのでおすすめです。加工食品やインスタント食品はなるべく控えることを意識し、食べる際はノンフライ・ノンオイルなど成分表示に注意し、量や頻度に注意しましょう。
「脂質の少ない食べ物」についてよくある質問

ここまで脂質の食べ物などを紹介しました。ここでは「脂質の食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
脂質が少ない食べ物はなんでしょうか
大隅 加奈子
野菜や果物、海藻類やきのこ類などは脂質量が少なく安心して食べていただけます。ただ、アボカドやオリーブには脂質量が多く含まれているので注意が必要です。また主食となるご飯や玄米などの穀類そのものの脂質量も全般的に少なく、玄米より白米の方が脂質量は少ないです。近年、コンビニやスーパーでも多くのローファット食品やノンファット食品が多くなってきています。
脂質制限をしている時におすすめの食べ物はなんでしょうか
大隅 加奈子
主菜ではお肉とお魚を交互に摂ることでバランスがよくなります。魚介類の中でも白身魚は、高たんぱく低脂肪で消化が良いので、体力回復やダイエット中の方にもおすすめです。カレイはビタミンB群・D・タウリンも豊富で、皮やひれ部分にコラーゲンも多いので美肌効果にも期待できます。また、鶏肉はお肉の中でも不飽和脂肪酸が多く含まれています。皮の部分は飽和脂肪酸が多く、エネルギー量も高いので皮なしを選ぶようにしましょう。食材の油脂が気になる場合は、しゃぶしゃぶや湯通しをすることで脂質をカットできます。
MCTオイルやココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、一般的な植物油に含まれる長鎖脂肪酸と比べて、比較的エネルギーとして利用されやすい特徴があります。ただし、体脂肪の増加を必ず防ぐものではなく、油脂であることに変わりはありません。使用する際は少量を意識し、全体の脂質摂取量を考慮しながら取り入れるようにしましょう。
まとめ
脂質の種類や特徴がたくさん出てきましたが、気を付けることは良質の油と摂取量に注意することです。肉・魚・乳製品など食材そのものに含まれる「見えない油」は「油脂を食べている」と実感しにくく意識せずに摂っていることが多いため、知らず知らず油脂の摂取過多につながります。食材に含まれる「見えない油」にこそ意識して注意していきたいですね。
『OIL(オイル)』をひっくり返すと『710』と読めることから、7月10日は『植物油の日』と定められています。からだに良い、美容に良い、植物油のよいところをいまのご自身のオイルの摂取量の見直す日にしてみてはいかがでしょうか?
「脂質」と関連する病気
「脂質」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器内科の病気
動脈硬化症
心筋梗塞脳梗塞脳血管疾患
心血管疾患
狭心症糖尿病内科の病気
糖尿病消化器内科の病気
急性膵炎脂肪肝腎臓病内科の病気
腎臓病
「脂質」と関連する症状
「脂質」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
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厚生労働省 健康日本21アクション支援システム|脂肪 / 脂質
一般社団法人 日本植物油協会
農林水産省 脂質のとりすぎに注意

