ただのノリだという夫
修斗がお風呂から上がってくると、私は震える声で尋ねた。
「これ……どういうこと?だれ?」
スマホの画面を修斗に見せる。修斗は一瞬、眉間にしわを寄せたが、すぐに落ち着いた声で言った。
「別に何もないよ。大学のころの友だち。たまたま向こうから連絡が来ただけ」
「たまたま?」
「うん。俺から連絡はとってないじゃん?久しぶりに連絡がきたから、無視するのも悪いから」
修斗は淡々と話す。その態度に、私の心は乱された。
「でも、またどこか行こうって」
「ノリだよ、相手がどこに住んでるかもわからないし、会える距離じゃないと思うんだよね」
修斗の言葉を信じたい。でも、胸の奥で渦巻く感情が私を支配する。
思えば私も、修斗に浮気がバレそうになったとき「ただの同級生だよ」「たまたま再会しただけ」って言った気がする。自分に前科があると、相手のこういう言動も気になってしまうんだ。改めて自分の愚かさを実感してしまった。
夫の言い分は、果たして本当なんだろうか―――。
あとがき:「揺らぐ信頼」
スマホのメッセージ一つで、積み上げてきたはずの信頼関係が揺らぎ始める様子がリアルに描かれています。一度裏切られたという事実は、被害者側だけでなく、加害者側にも深い不信感をもたらす。修斗さんの言葉を信じたいのに信じられないあんりさんの葛藤は、過去の行動がどれだけ現在の自分を縛り付けているかを示しています
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

