
「お客様は神様」という言葉を盾に、理不尽な要求や迷惑行為を正当化する人に出会ったことはないだろうか。接客業の現場では、自分の価値観を絶対視する“クレーマー”が後を絶たない。とりわけスーパーのレジは、日々さまざまな人と向き合う最前線だ。漫画『チェッカー鳥海さん、レジまでお願いします』を描く狸谷(@akatsuki405)さんは、思わず目を疑うような非常識な客の行動を、実体験をもとに描き続けてきた。様々なびっくりエピソードの数々がSNSで大きな反響を呼んだ。
■「お客様は神様」をこれでもかと振りかざす人たち



妄言のようなクレームを吐き、脅すような態度で説教を始め、同じ要求を何度も繰り返す——。長時間従業員を拘束するだけでなく、最近ではSNSでの誹謗中傷にまで発展するケースも珍しくない。お金を払っている自分は偉い、という意識から、従業員を下に見る態度が染みついている人も確かに存在している。狸谷の漫画に描かれる“レジチェッカーあるある”は、決して誇張ではなく、現場で実際に起きてきた出来事ばかりだ。
■食品を開封、冷蔵商品を放置…!? 描かれているのはすべて実話
作中に登場する迷惑行為の数々は、作者自身や同僚たちが実際に経験したものだ。話を盛っているのでは、という声が上がることもあるが、残念ながらすべて現実に存在する実話。袋を開けて商品を触る子供、買うのをやめた食品をそのまま棚に戻す客。こうした行為は衛生面の問題にも直結し、何時間放置されたかわからない商品は、売り場に戻すことすらできなくなる。放置された商品を見つけたら、近くのスタッフやレジに渡してほしい――それは現場からの切実な願いだ。
■罵倒が心を削っていく…そして追い打ちをかける人手不足
レジチェッカーの仕事は、想像以上にメンタルを消耗するのだそうだ。狸谷さんが現役で働いていた頃も人手不足は深刻で、稼働レジを減らさざるを得ない状況が続いていた。客からの罵倒がトラウマとなり、レジに立てなくなって配置換えを余儀なくされたスタッフもいたという。現在勤務している100円ショップでも、来客数の増加に対してレジの台数が追いつかず、「レジを増やせ」と叱責される場面は日常茶飯事だ。慢性的な人員不足は、今も変わらない課題として横たわっている。
■子供の迷惑行為に万引き…マニュアルだけでは現場は守れない!
各社にはクレーム対応のマニュアルが存在するが、それだけでは対応しきれないケースも多い。状況は一つひとつ異なり、現場では毎回慎重な判断が求められる。特に頭を悩ませるのが、善悪の判断がつきにくい年齢の子供による迷惑行為だ。無邪気さゆえに起こる問題でも、食器売り場などでは大きな事故につながりかねない。万引きが常習化した場合は、店長判断で警察に連絡することもあるが、簡単に割り切れる問題ではない。
■「同じ経験」「わかる」5年間のリアルエピソードに共感が広がり続ける
本作はTwitterに投稿されるたび、「わかる」「同じ経験をした」と共感の声が相次いできた。口の中からお金を取り出す客や、エコバッグを開けた瞬間に現れる“想定外のもの”など、スーパーで働く人だからこそ描けるリアルなエピソードが胸に刺さる。描き始めて5年。当初はセリフを詰め込みすぎて読みづらかったと振り返る狸谷さんだが、現在は読みやすさと見やすさを意識し、より多くの人に届く表現を模索している。漫画やイラストを通じて、これからも現場の声は描かれ続けていく。
取材協力:狸谷(@akatsuki405)
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