認知症の自宅介護はいつまで続く?負担を軽減する方法、限界時の対処法も解説

認知症の自宅介護はいつまで続く?負担を軽減する方法、限界時の対処法も解説

認知症の方を自宅で支える生活は、日々の関わりが中心となるため、ご家族にとって負担を感じる場面が少なくありません。記憶や判断の変化により生活のリズムが乱れやすくなり、介助の量や時間も状況によって大きく変わります。また、認知症は進行に伴って必要な支援が変化していくため、同じ介護が続くわけではなく、ご家族がその都度対応を調整していく必要が生じます。自宅での介護が長く続くこともあるため、日常生活との両立や心身の疲れを抱えながら過ごしている方も多い傾向があるのが実情です。

本記事では、自宅介護の現状、自宅介護が続く理由や負担が大きくなる要因、介護者への影響、負担を軽減するための方法、限界を感じたときの選択肢について、解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

認知症の自宅介護の割合と期間

認知症の自宅介護の割合と期間

認知症の方の介護は、何年にもわたって続くことが多い傾向があります。発症から亡くなるまでのおおよその期間や、診断後どれくらいの時間を過ごすのかを知っておくと、自宅介護をどのくらいの長さで考えればよいかの目安になります。ここでは、自宅で生活している認知症の方の割合と、自宅介護期間の目安を解説します。

認知症の自宅介護の割合

認知症のある高齢の方の生活場所をみると、約6割が自宅で暮らしています。残りは医療機関や特別養護老人ホームなどの施設が続きますが、まず自宅での生活が中心になっている状況です。

自宅で暮らし続ける背景には、住み慣れた家のほうが落ち着きやすいこと、家族と顔を合わせる時間を保ちたいという思いなどがあります。認知症の方にとっては、環境の変化が混乱や不安につながることがあり、家具の配置や生活リズムが大きく変わらないことが安心材料になる場合があります。このため、認知症の方のケアは、自宅を軸にした期間が長くなることが多く、そのあいだ家族が介護の中心を担う場面が続いていきます。

参照:『東京の高齢者の現状』(東京都福祉保健局)

認知症での自宅介護期間の目安

認知症は、発症してから亡くなるまでの経過が約10年ほどといわれています。そのうち、医療機関で診断されてから亡くなるまでの平均は約4年半です。つまり、診断がつく前の「物忘れが増えてきた」「様子が変わってきた」と感じる時期も含めると、ご家族が認知症に向き合う時間はさらに長くなる可能性があります。

進行して重症の段階になると、寝たきりに近い状態となり、食事やお口のケア、排泄、体位交換など、生活のほとんどに介助が必要です。この段階に入ってからの平均余命は約1年半です。重症期は、自宅でも施設でも医療や介護の支えが欠かせない状態になり、支援の量も内容も大きく変化します。自宅介護を考える際には、認知症がこのような経過をたどる病気であることを踏まえ、長い時間軸で見通しを持っておきましょう。

参照:『認知症の人のエンドオブライフケア』(公益財団法人 長寿科学振興財団)

認知症の方の自宅介護が大変な要因

認知症の方の自宅介護が大変な要因

認知症の自宅介護が難しく感じられるのは、単に介助が増えるためだけではありません。日常生活の細かな変化や、時間帯によって必要な支援が違うこと、コミュニケーションの取りにくさなど、さまざまな要因が重なって負担を感じやすくなります。ここでは、介護の現場でよくみられる大変さを4つの視点から解説します。

徘徊への対応や排泄・入浴介助などの身体的負担が大きい

認知症が進行すると、見守りの時間が長くなり、日常生活の多くに介助が必要になります。外に出てしまう可能性があるため夜間も気が抜けず、睡眠が十分に取れないことが増えていきます。排泄のタイミングがつかみにくくなると、衣類の交換や清掃が頻回になり、入浴でも全身を支えながら洗う必要が生じるため、身体への負担が強くなります。こうした介助は毎日続くため、ご本人と介護を担う方の双方に疲れがたまりやすいです。

認知症の方とのコミュニケーションが難しい

言葉の理解がゆっくりになる、状況の把握が難しくなるといった変化により、会話そのものがスムーズに進まなくなることがあります。ご本人は不安や混乱を感じやすく、同じ質問や行動が繰り返されることもあります。

介護をする側は、その都度気持ちを落ち着けて対応する必要があり、精神的な疲労につながる場面が増えていきます。意思疎通に時間がかかることで、食事や排泄、身支度などの日常的な場面でも予定どおりに進まないことがあり、生活全体のリズムが乱れやすくなります。

経済的負担が大きい

認知症の進行とともに、通院や訪問診療、訪問看護、デイサービスなどの医療機関や介護サービスの利用が増えることがあります。必要な介護用品や福祉用具、住宅内の環境整備に費用がかかる場合もあり、家計への影響は無視できません。また、自宅介護を続けるために仕事を減らしたり休んだりすると、収入の低下が生活に響くことがあります。

医療費や介護費、生活費のバランスを考えながら対応する必要があり、経済面での不安を感じやすいです。

仕事や家事、育児との両立が難しい

働きながら介護を続けている方は、急な対応やデイサービスへの送り迎え、受診の付き添いなどで日々の予定を調整しなければならなくなります。家事や育児が同時にある場合、1日の時間のほとんどがケアに取られてしまい、自分の時間が確保しにくくなります。休息が十分に取れない状態が続くと、心身の疲れが強まり、体調を崩すきっかけにもなります。時間的にも精神的にも余裕がなくなることで、介護そのものが負担に感じやすくなることがあります。

配信元: Medical DOC

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