認知症の方の自宅介護が続くことで生じる介護者への影響

認知症の介護は日々の積み重ねが大きく、短期間では負担を自覚しにくくても、長く続くことで心身や生活にさまざまな影響が現れます。ここでは、介護を担う方に起こりやすい変化を3つの観点から解説します。
心身の健康への影響
自宅介護が続くと、日常的な見守りや介助、夜間の呼びかけへの対応などで休息の時間が少なくなり、疲労が蓄積しやすくなります。特に排泄介助や徘徊への対応は時間帯を問わず必要になり、睡眠が十分に取れない日が増えると、体調不良や気持ちの落ち込みにつながることがあります。精神的にも、ご本人の言動が変化するたびに気持ちを切り替えて対応する必要があるため、緊張感が続く状態になりやすいと感じる方が少なくありません。疲れが続くと、肩こり・腰痛・頭痛などの身体の不調が出てくることもあり、介護者自身が健康を損なってしまうケースもみられます。
経済的な影響
介護期間が長くなるほど、デイサービスや訪問系サービスの利用が増えることがあり、家計への負担が重なっていきます。介護用品の購入や福祉用具のレンタル費用、通院にかかる交通費など、日々の生活費とは別に支出が必要になることもあります。また、介護の必要性が高まると、仕事の時間を減らしたり、離職したりする方もおり、収入の減少が生活に影響する場合があります。長期的な支出と収入の変化が同時に起こることで、経済面での不安が強まりやすくなります。
対外的な人間関係への影響
介護に時間や気持ちの余裕が必要になると、友人や地域とのつながりが徐々に薄れていくことがあります。外出がしにくくなる、予定が立てにくいといった理由から、人と会う機会が減り、社会とのつながりを感じにくくなる方もいます。家族との関係でも、介護を担う方に負荷が集中すると、気持ちのすれ違いや疲れによる衝突が起こりやすくなります。また、周囲に介護の状況を伝えにくいと感じる方もおり、悩みを抱え込みやすい状態になることがあります。こうした孤立感が高まると、精神的な負担がさらに強くなり、介護そのものを続ける力に影響することもあります。
認知症の方を自宅で介護する際の負担を軽減する方法

認知症の方の介護は、ご家族が一人で抱え続けると心身の負担が強くなり、疲れをため込みやすくなります。介護を長く続けるためには、周囲の力を積極的に借りながら、家庭全体で無理なく取り組める体制を整えることが大切です。ここでは、日常生活の負担を軽くするために役立つ方法を解説します。
訪問看護・訪問介護・通所系サービスの頻度を増やす
認知症が進むと、日常的な見守りや介助の量が増え、家族だけで支えることが難しくなることがあります。そのようなときは、訪問看護や訪問介護、デイサービスなどのサービスを増やすと、介護者の負担を大きく減らすことができます。
訪問看護では、体調管理や薬の管理、お口のケアなど専門的なサポートを自宅で受けられるため、医療的な不安を軽くできます。訪問介護では、入浴や排泄の介助、掃除や洗濯などの日常生活の支援が得られます。
デイサービスは、ご本人が日中を安心感を持って過ごせる場となるだけでなく、ご家族が心身の負担を軽くし、休息の時間を確保することができます。週数回の利用でも生活のリズムが整い、ご本人の活動性が保たれやすくなるメリットがあります。サービスを増やすことに抵抗を感じる方もいますが、介護を続けるための選択肢の一つと考え、早めの段階から活用しておくと負担の偏りを防ぎやすいです。
家族内の役割分担を見直し、介護者を増やす
介護を一人で抱え込むと、身体の疲れや精神的な負担が強まりやすく、長く続けることが難しくなります。家族で介護を分担することで、一人にかかる負担を減らし、気持ちの余裕を保ちやすくなります。
分担の方法は必ずしも介助そのものとは限りません。受診の付き添い、買い物、洗濯、掃除、書類の手続き、サービス利用の調整など、役割は幅広くあります。家族それぞれの得意なことや生活リズムに合わせて役割を決めると、無理なく協力しやすくなります。
また、家族以外でも、近所の方や親族、友人など、手伝ってくれる方がいれば小さなことでも助けてもらうと負担の軽減につながります。
介護を担う方が安心して休息できる時間を確保することは、ご本人の生活の質にもプラスになります。誰か一人が倒れてしまう前に、複数の支えをつくっておくことが、長く介護を続けるための大切な工夫です。

