副腎の外側の副腎皮質にできるがんです。副腎は体の恒常性を維持するためのホルモンを作っている臓器です。
副腎皮質で作られるホルモンが過剰に産出されることがあり、いろいろな症状を引き起こします。
非常にまれながんですが、生存率の低い予後不良ながんです。切除が可能であれば手術します。再発率が高いので経過観察が必要です。
詳しく解説いたします。
※この記事はメディカルドックにて『「副腎皮質がん」になると現れる症状・原因・生存率はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
磯野 誠(医師)
2006年防衛医科大学校卒業、2013年防衛医科大学校医学研究科、2015年Heinrich Heine大学泌尿器科学講座(ドイツ連邦共和国)留学、 2023年所沢いそのクリニック開院
副腎皮質がんの症状と原因

副腎皮質がんとはどんな病気ですか?
副腎の外側の皮質にできるがんです。副腎は腎臓の上にある3~4cmの大きさの臓器で、体の恒常性を維持するためのホルモンを作っています。罹患率が100万人に2人程度という非常にめずらしいがんです。10歳前後と40歳代・50歳代の人に多く発生しています。男性より女性の方が多くなっています。再発率が50~70%、5年生存率が35〜50%と予後は不良です。腫瘍が大きくなることでお腹が張ったり痛くなる症状が現れることがあります。
また高血圧・高血糖・筋力低下・肥満などの症状が現れることがあります。副腎皮質で作られるホルモンが過剰に生産されるからです。切除が可能であれば手術を行います。再発率が高いので術後は注意深い経過観察が必要です。
しかし他の臓器に転移していたり手術で切除できない場合は、薬物で病状の進行を制御する方法を取ります。
副腎皮質がんによる症状を教えてください。
腹部のしこり・痛み・膨張感・背部の痛みなどの徴候や症状がみられます。腫瘍が大きくなることから生じる症状です。またコルチゾール・アルドステロン・テストステロン・エストロゲンといったホルモンが過剰に分泌されることがあります。以下にそれぞれのホルモンが過剰に分泌されたときに生じる症状を示します。
コルチゾール:糖の新生・脂肪の分解・タンパク質の代謝をコントロールするホルモンです。このホルモンの作用が過剰になると、体重が増える・顔が丸くなる・血糖値が高くなる・血圧が高くなるなどの症状を引き起こします。
アルドステロン:水分と塩分をコントロールするホルモンです。過剰になると高血圧になる・頻尿になる・のどが渇く・筋力の低下する・筋肉が痙攣しやすくなるなどの症状を引き起こします。
テストステロン:筋肉や骨量の増加を促進する男性ホルモンの代表です。このホルモンが過剰になっても男性には症状があらわれません。女性の場合、細い毛が生えてくる・にきびができる・頭髪に脱毛が起きる・声が低くなる・月経周期が乱れるなどの症状が現れます。
エストロゲン:丸みのある体系を作る・肌を美しくするホルモンです。女性らしさを作るホルモンです。このホルモンが過剰になると、女性の場合は月経周期が乱れる・閉経した膣からの出血する・体重が増加するなどの症状が現れます。男性の場合、乳房がふくらむ・性欲が減退する・勃起不全となるなどの症状が現れます。
これらの徴候や症状がみられる場合は医師の診察を受けてください。
副腎皮質がんが起こる原因とは何でしょうか?
原因は、まだ明確には分かっていません。しかし、特定の遺伝性疾患のある人は発症のリスクが高くなるといわれています。リスク因子となる遺伝性疾患には以下のものがあります。リー・フラウメニ症候群:TP53遺伝子の変異で発生する遺伝性疾患です。がんの発生リスクが高くなります。低年齢でも発症します。
カーニー複合:まれにみられる遺伝性疾患で、皮膚に出現する暗色の斑点と心臓・内分泌腺・皮膚・神経の腫瘍が特徴です。
ベックウィズ・ヴィーデマン症候群:過剰な成長をおこすまれな障害です。新生児の段階で体格が大きくなることがあります。
どんな人が副腎皮質がんになりやすいですか?
罹患率が100万人に2人程度という珍しいがんです。かかりやすい年齢は10歳前後と40歳代・50歳代の人です。女性は男性の1.5〜3倍となっています。
編集部まとめ

副腎皮質はコルチゾール・アルドステロン・テストステロン・エストロゲンといった、重要な働きをするホルモンを作っています。
副腎皮質がんはこれらのホルモンを過剰に作り出すことがあり、その影響は深刻なものです。
しかし初期においてこれといった特徴的な症状があらわれず、発見されたときには進行してしまっていることが多いがんです。
少しでも体が通常の状態と違うと思われる時は、専門の医療機関を受診して下さい。
参考文献
副腎皮質がん(希少がんセンター)
副腎皮質がんの治療(がん情報サイト)

