ノースウエスト航空のアパート→代官山T-SITEへ
さらに、『アド街』第1回の後半では、旧山手通りを往復して道路から両脇を撮影し、店や施設をフラッシュ形式で紹介する「○○ストリート」のコーナーも存在しました。
そこで「ノースウエスト航空のアパート」と語られていた場所が、今では「代官山T-SITE」という、蔦屋書店を中核とした“生活提案型商業施設”に生まれ変わりました。
貧乏ライターの筆者としては、何やら高いものを売りつけられそうな気分になるのであまり行っていなかったのですが、あらためて歩くと、大人の余裕と心地よさも感じさせる施設です。
ちなみにこの代官山T-SITEの片隅にはファミリーマートもあります。ハイソな場所を歩いて凝った肩の力を抜き、安いPBのカップうどんとコーン茶をイートインで食べながら休憩しました。
ちなみに『アド街』第1回のベスト10には、6位に「美容室」、10位に「ケーキ」がランクインしていました。
例えば1983年4月8日発行の『an・an』にも、「おいしいケーキでも食べてお店をのぞいてゆったりと時間を過ごす街」と書かれていて、ケーキ屋が代官山を象徴する存在でもあったようです。
ただし、9年間代官山の近所に住んでいても、今回あらためて代官山を歩いても、美容室やケーキ店はそれほど目立たないように思えました。
代官山の空の広さをつくる「ヒルサイドテラス」
ここからはまだ存在しているところに目を向けましょう。
代官山といえば、特徴的なのが空の広さです。低層階の建物が多く、圧迫感がありません。
このように低層階の建物が多く、東京とは思えないほどに空が広くなっています。それを形作っている中心的存在が、放送第1回の1位「ヒルサイドテラス」です。
ヒルサイドテラスは、第1期の設計が始まった1967年から、最終期のヒルサイドウエストが竣工する1998年まで約30年をかけて、周囲の変化となじむようにじっくり完成させたといわれる複合施設です。
当初、敷地は最高の高さが10m、容積率150%に制限された第一種低層住居専用地域であるため低層階の建物を建設しており、現在でも建物の高さは低めに抑えられています。
ぜいたくに土地を使い、空の広さと優雅さを両立しているヒルサイドテラスこそが、代官山の象徴であるといわれ、代官山がおしゃれな高級住宅街になるきっかけのひとつになったとされます。
第1回の放送でも「なんと言ってもヒルサイドテラスは代官山の象徴」と語られています。
テナントに入っている店も粒ぞろいで、第1回放送で「食通たちの食料庫」と語られていた「ヒルサイドパントリー」も健在です。ちょっとお高いですが、値段分の価値がある味わいで、不肖筆者の歴代ベスト5に入るおいしさでした。
番組では、愛川欽也さんがかつて住んでいた1971年築の「代官山タワー」も紹介されており、今も健在です。
「タワー」とは言いますが6階建てで、低層の多い代官山に合う横長のフォルム。あのアントニオ猪木さんや映画監督・黒澤明さんもお住まいだったようです。

