心因性難聴の治療
心因性難聴の治療では、実際には難聴を起こすような病気や障がいがないことを本人に理解してもらい、安心してもらうことが重要です。投薬などの特別な治療は必要ないことを知ることで、症状の改善につながることもあります。
また、症状の改善がみられない場合には、専門家による心理的なケアを検討します。
専門家によるカウンセリング
カウンセリングでは、臨床心理士やカウンセラーなどの専門家が、悩みやストレスとなった原因や出来事などを丁寧に聞き取り、問題解決のためのサポートを行います。
児童精神科や小児神経科、心療内科での専門家との対話を通して、ストレスの原因を探り、心の負担を軽くします。
心因性難聴が治る子どもたちの約50%は6ヶ月以内で治るとされていますが、過度にストレスの原因を追求することで症状の悪化につながる恐れがあります。さらに、治療をしていくなかで症状が改善したり、悪化したりを繰り返して治療に時間がかかるケースもあります。
とくに小児における心因性難聴では、治療において家族のサポートや学校との連携も大切になってくるため、本人と家族が一緒にカウンセリングを受けることも大切です。
環境整備・薬物療法
学校の先生や職場の上司に相談したり、家庭環境の問題であれば家族と話し合ったりすることで、ストレスの原因となっている環境を変えることを目指します。
薬物療法は、不安が強く日常生活に支障が出ている場合や、不眠が続いている場合などに、医師の判断で抗不安薬や睡眠薬などが処方されることがあります。
しかし、薬はあくまで一時的な症状の緩和を目的としており、根本的な解決にはなりません。周りの人の理解とサポートは大きな支えとなります。
家族や友人、職場の同僚などが心因性難聴の状況を理解し、温かく見守ることで安心して治療に取り組めます。
心因性難聴になりやすい人・予防の方法
心因性難聴は、ストレスを抱えやすい人がなりやすい傾向があります。
具体的には、真面目で責任感が強い人、周りの目を気にしやすい人、ストレスを溜め込みやすい人、完璧主義で自分に厳しい人、周囲の期待に応えようと無理をしてしまう人などです。
これらの人は、ストレスを抱え込みやすく、心身のバランスを崩しやすい傾向があります。
予防のためには、規則正しい生活を送り、心身のリラックスするなど日頃からストレスを溜め込まない生活を心がけることが大切です。
例えば、毎日同じ時間に寝起きする、栄養バランスの取れた食事を摂る、ウォーキングやヨガなどの軽い運動を習慣にする、趣味に没頭する時間を持つなど、自分に合った方法でリフレッシュすることなどを実践してみると良いでしょう。
また、悩みや不安を一人で抱え込まず、家族や友人、かかりつけ医、カウンセラーなどに相談することも有効です。早期に適切な対応をすることで、症状の悪化を防ぎ、早期の回復につながります。
関連する病気
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心身症PTSDうつ病参考文献
機能性難聴|一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
矢野純著.押さえておきたい!心身医学の臨床の知.心因性難聴.Vol.52 No.8.2012心身医
小林一女著.心因性難聴.日本医事新報 (5157): 49-50, 2023.

