仕事で多くの人と接していると、自分の価値観が試されるような、判断に迷う場面に出会うことがありますよね。時には自分の「思い込み」が視界を曇らせてしまうことも。今回は、企業の面接官として働く友人が、自身の体験談を聞かせてくれました。
母親同伴の面接?
私は某企業の人事部に勤めています。
その日は採用面接が立て込み、他の業務にも追われていました。
そんな慌ただしい中、受付から「面接の方が、お母様と一緒にお越しになりましたが……」と内線が入り、耳を疑いました。
反射的に頭に浮かんだのは、「過保護な親」と「自立できない息子」という、どこかで見聞きした典型的なイメージ。
一瞬とまどいましたが、面接の約束をしているのは事実です。
そのため、「そのままご案内してください」と伝えました。
想像していた光景との違い
面接場所の会議室へ入ると、緊張した面持ちの青年と、その隣に静かに座る母親の姿がありました。
挨拶をすると、話し始めるのを待っていた私をよそに、母親は深く頭を下げ、音もなく、静かに手を動かし始めました。
その仕草に違和感を覚え、視線を向けた瞬間、それが「手話」だと気づきました。
青年は聴覚に障がいがあり、母親は通訳として同席していたのです。
履歴書には丁寧にその旨が記載されていたのに、私は忙しさを言い訳に、大切な一行を読み飛ばしていました。

