腸は全身の免疫細胞の約7割が集中する重要な器官であり、腸内環境の状態は免疫システム全体に大きく影響します。腸内細菌のバランスが崩れることで免疫機能が低下し、感染症への抵抗力が弱まったり、アレルギー症状が悪化したりする可能性があります。免疫と腸内環境の関連性について、具体的に見ていきましょう。

監修管理栄養士:
中西 真悠(管理栄養士)
2020年3月女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業
2020年4月株式会社野口医学研究所入社
同年よりフリーの管理栄養士として活動開始、現在に至る
・法人向け健康経営支援サービスの立ち上げと推進(新規および既存顧客への営業活動を主導)
・食と健康に関する指導プログラムの実施(延べ2000人以上を対象にセミナーや測定会を通じて個別指導を実施)
・SNSでの情報発信によるブランディング
∟ Instagramにて食と健康に関する情報を発信し、フォロワー5万人超を達成
∟ 企業のSNS商品撮影代行やレシピ開発を400件以上実施
・サプリメントや雑貨のお客様相談室にてコールセンター業務を担当
・保険調査業務の実務を担当
免疫機能の低下と全身への影響
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、全身の免疫細胞の約7割が腸管に集中しています。腸内環境が悪化すると、免疫システムが正常に機能しなくなり、感染症にかかりやすくなったり、アレルギー症状が悪化したりすることがあります。
風邪やウイルス感染にかかりやすくなる理由
善玉菌やその代謝産物は、免疫細胞に働きかけ、その機能を適切に調節(維持)する役割を担っています。しかし、悪玉菌の増加などにより腸内環境が乱れると、免疫バランスが崩れ、結果として病原体に対する抵抗力が低下し、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症にかかりやすくなります。また、腸内環境が悪化すると腸壁のバリア機能が弱まり、有害物質が体内に侵入しやすくなることも免疫力低下の一因です。
腸内環境を整えることで免疫機能が改善し、感染症への抵抗力が高まることが複数の研究で示されています。日常的に発酵食品を摂取したり、食物繊維を意識して取り入れたりすることで、善玉菌を増やし、免疫力を維持することが期待できます。ただし、免疫力の強化には個人差があり、基礎疾患をお持ちの方や高齢の方は、医師と相談しながら腸内環境のケアを進めることをおすすめします。
アレルギー症状との関連性
腸内環境の悪化は、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を悪化させる要因になることが知られています。腸内細菌は免疫の過剰反応を抑える働きを持つため、善玉菌が減少すると免疫バランスが崩れ、アレルギー反応が起きやすくなります。
特に乳幼児期の腸内環境は、その後のアレルギー体質の形成に影響するとされており、早期から腸内環境を整えることが重要です。大人になってからでも、食生活の改善や善玉菌を増やす取り組みによって、アレルギー症状の軽減が期待できる場合があります。ただし、症状の改善には時間がかかることが多く、また全ての方に効果があるとは限りません。症状が強い場合は、専門の医療機関での相談をおすすめします。アレルギー疾患内科や皮膚科では、症状に応じた適切な治療を受けられます。
まとめ
腸内環境は全身の免疫細胞の約7割が集まる最大の免疫器官であり、私たちの健康を支える重要な基盤です。食べ物やサプリメント、生活習慣の改善を通じて腸内細菌のバランスを整えることで、便通の正常化だけでなく、免疫機能の適切な維持やメンタルヘルスの安定にもつながることが期待されています。本記事でご紹介した方法を参考に、まずは発酵食品を一品増やすことや一回の深呼吸など、できることから少しずつ実践し、、長期的な視点で腸内環境のケアに取り組んでみてください。ただし、効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるとは限りません。症状が改善しない場合や不安がある場合は、医療機関での相談をおすすめします。健やかな腸内環境が、あなたの健康な毎日を支える土台となることを願っています。
参考文献
厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」 日本消化器病学会「腸内フローラとは何ですか? 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
