
漫画家のグラハム子さん(@gura_hamuco)がある日、息子から聞いた話に衝撃を受けた。「最近、ゲームに負けるとA子に話しかける遊びが流行っている」。おとなしい女子をターゲットにし、話しかける姿を遠くから見て笑って楽しむのだという。このような男性集団における競争的、攻撃的なコミュニケーションは「メンズトーク」と呼ばれる。今回はこのエピソードをもとに、グラハム子さんに話を聞いた。




■「おとなしい女子」がターゲットになる理不尽
グラハム子さんが「メンズトーク」という言葉を知ったのは、水谷緑さんの著書『こころのナース夜野さん』(小学館)がきっかけだという。「暴力やDVをしてしまう加害者男性たちの更生プログラムの話で、男性特有の生きづらさや、そうさせてしまう社会・文化の影響に当事者が向き合っていく内容でした」とグラハム子さんは語る。
競争社会を生き抜くなかで、自分が優位に立つために他者を利用するコミュニケーションはいまだに存在する。息子の仲間内では、それが「ゲームに負けたら女子に話しかける」という遊びとして表れていた。「それの何が楽しいの?」と問うと、息子は「みんなが笑っていると、楽しい気がしちゃう」と答えたという。
■「家に帰って1人で泣いた」母の告白
実はグラハム子さんも中学時代、同様の経験をしていた。当時、男子から「ハム子、かわいいね~」とからかいの声をかけられることがあったが、陽キャやかわいい女子は対象にならない。狙われるのは「芋っぽい、おとなしい女子」であり、された側はみじめな気持ちになる。
「昔はただ猛烈に不快でした。でも、メンズトークが男性の生きづらさの象徴であることや、社会的な背景を知ってからは、不快なのは変わりませんが『彼らの根底にも苦しさがあるのかも』と考えるようになりました」
グラハム子さんはその後、息子に自身の過去を打ち明けた。「母さんも昔それをやられたことがあるけど、とても悲しくてみじめな気持ちになったよ。誰にも話せなくて、家に帰って1人で泣いたよ」。そう伝えると、息子は静かに聞いていたという。
11歳という多感な時期に、母の声はどう響いたのだろうか。グラハム子さんはほかにも『親に整形させられた私が母になる~エリカの場合~』など、社会のひずみや人間心理を描いた作品を数多く手がけている。
取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)
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