現れた救世主
「大丈夫ですか?」自転車に乗ったスーツ姿の男性が、すっと近づいてきたのです。背中にリュックを背負い、通勤途中のようでした。
「起こしますよ」そう言うと、子どもが乗ったままのママチャリを、一瞬で起こしてくれました。
さらに、泣きじゃくる長女に「痛かったね。びっくりしたよね」と、優しく声をかけたのです。
私は何度もお礼を言いました。彼は笑顔でうなずき、そのまま何事もなかったように走り去っていきました。
思いがけない再会が教えてくれたこと
それから半年がたち、春。娘は小学生になりました。
入学式の日、校門の前でにこやかに立っている男性の姿が目に入ります。
「あれ……?」
以前、保育園の前で転んだ私たちを助けてくれた、あの男性でした。スーツにリュックでさっそうと現れ、倒れた自転車を一瞬で起こしてくれた人。
その正体は、教頭先生だったのです。
私は心底、驚きました。 まさか、娘が通う小学校の先生だったとは。
困っている人を見た瞬間、迷いなく動けること。それを特別なことだと思わず、軽やかに行動できること。 その姿勢に、改めてすごさを感じました。
娘はきっと、あの笑顔のそばで、安心しながら学校生活を送っていくのでしょう。そう思うと胸がじんわりあたたかくなり、感謝が込みあげました。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。

