
「次回も元気に来てくれるかな?」そうマイクを差し出された瞬間、条件反射で「いいとも!」が口をついて出る――そんな人はきっと少なくない。むしろ出ないほうが不自然ですらある。しかし、その“模範解答”が一切通じない世代が存在するとなると話は別だ。当たり前だと思っていたリアクションが、時代とともにそっと消えている。それが、静かに、しかし確実に効いてくるジェネレーションギャップである。
今回は、しろやぎ秋吾さん(@siroyagishugo)の「ひとこと体験談」シリーズより、「ジェネレーションギャップを感じた時」を紹介する。
■バラエティの再現VTRをそのまま描きたかっただけ!?



しろやぎ秋吾さんは、フォロワーから寄せられた体験談をもとに漫画を描く作家だ。100話を超える「ちょっと怖い話」をはじめ、「明日もガンバろうって思う瞬間」や「今時だなって思った子供の言動」など、ジャンルは幅広い。
「ひとこと体験談でやりたかったのは、テレビのバラエティ番組の再現VTRです。理由は単純で、好きだから」。この一言にすべてが詰まっている。オチがあり、間があり、見ていて「わかる」「あーあるある」と言いたくなる構成は、まさにVTR感覚だ。
■メイク直しにドキッ!? その違和感、もう時代のせいかもしれません
シリーズの中でも印象的なのが、「ジェネレーションギャップを感じた時 その7」。トイレで居合わせた男性が、何のためらいもなくポーチを取り出し、メイク直しを始める場面だ。
「男性が化粧する」といえば、かつてはヴィジュアル系バンドの専売特許だった時代もあった。しかし今では、ムダ毛処理、基礎化粧、薄づきファンデーションまでが日常の範囲内に収まっている。この変化を深刻ぶらず、さらっとギャグに落とすあたりが、しろやぎ作品らしい。
反響が大きかった話として挙がったのは、「ジェネレーションギャップ その2」のMDネタ。「懐かしい!」と「何それ?」が同時に飛び交い、コメント欄が軽く戦場になるタイプの話だ。
■共感できるかどうかが、すべての基準
ネタ選びのポイントについて聞くと、返ってきた答えは実にシンプルだった。「共感しやすい話。ちゃんと伝わりそうな話です」。作者自身がまず笑えるかどうか、それが最重要だという。
「次回も来てくれるかな?」と振られ、「いいとも!」が出る世代と、「え、何の話ですか?」と首を傾げる世代。どちらが正しいわけでもない。ただ、知っている前提で話した瞬間に、大人の自信が静かに砕け散るだけだ。
個人情報が今よりずっと筒抜けだった時代の話に驚いたり、「それ普通でしょ?」と思っていたことが通じなかったり。本作は、読む人の年齢によって笑いどころが変わる。そのズレこそが、このシリーズ最大の笑いどころなのかもしれない。
取材協力:しろやぎ秋吾
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